アマガミSSです。今更な感じですが、楽しんでいただければ幸いです。
登場人物 橘 桜井 絢辻 棚町 美也
※橘と桜井メインなので、他の人物の出番は少ししかないです
過去作品
木曜日 茶道部 部室
橘「は~... やっぱりコタツはいいですね~」ヌクヌク
夕月「そうだろ、そうだろ~? うちの部員になれば毎日、コタツで暖まれるぞ?」
飛羽「...入り浸り」
橘「はは、家にもコタツがあるからそれで十分ですよ」
夕月「そうかー。あんたが入部してくれたら、りほっちも喜ぶんだけどなぁ」
飛羽「...残念」
橘「と、ところで梨穂子はまだ来てないんですか?」
夕月「ああ、りほっちならお菓子の買い出しに行ってるよ」
飛羽「...ショッピング」
夕月「あの子のお菓子を見る目は確かだからね~」
飛羽「...もはや神の領域」
橘「ああ、確かに梨穂子が薦めるお菓子はいつも美味しいんですよね」
夕月「そうそう、だからついつい食べ過ぎちゃうんだよな、これが」
飛羽「...体重増加」
橘「でも、お二人共、ほっそりとしてますけど...?」
飛羽「...私が考案した特別なダイエットがある」
夕月「これが効果バツグンなんだよ」
橘「へぇ~。一体、どんなダイエットなんですか?」
飛羽「まずはオケラを...
橘「いや、やっぱり聞きたくないです」
夕月「あはは。冗談だっての」
飛羽「...アメリカンジョーク」
橘「飛羽先輩が言うと、冗談に聞こえないんですよ...」
夕月「まぁまぁ。あ、お茶のおかわりでもいるかい?」
橘「いえ、そろそろお暇します」
夕月「あ~ん? あたしのお茶が飲めないってのか?」
飛羽「...もうすぐ、りほっちも来る」
橘「いや、いつもなら頂くんですが、ちょっと用事がありまして」
夕月「用事?」
橘「ええ、両親が出張で週末いないから、買い出しをしておかないと」
飛羽「...両親が出張?」
橘「妹も友達のところに泊まりに行くみたいだから、僕ひとりなんですよね」
夕月「...ほほう、週末はお前ひとりだけなのか」
橘「ええ、友人達も予定があるらしくて」
飛羽「...独り寂しい週末」
橘「はは。全くその通りなんですよ」
夕月「そうかそうか。そりゃ、しょうがない」
飛羽「...行くがいい」
橘「すみません。ではそうさせていただきますね」
・・・・・
・・・・
・・・
夕月「...どう思う、愛歌?」
飛羽「...チャンス到来」
夕月「ああ。りほっちに教えてやらないとな」ニヤリ
金曜日 朝 教室
梅原「よう、大将!! 今日も寒いなぁ」
橘「おはよう、梅原。最近、ますます冷え込んでる気がするよ」
梅原「ああ、布団から出るのが億劫になるぜ...」
橘「はは、そうだな」
棚町「おっはよ~。二人とも」
田中「おはよう、梅原君、橘君」
梅原「おっす」
橘「おはよう、薫、田中さん」
棚町「あ~、寒かった!!」
田中「教室、暖かいね~」
棚町「いや~、手袋忘れたから、両手が冷えっ冷えだわ」ピト
橘「冷た!! な、何するんだ、薫!!」
棚町「何って、手を温めてるのよ?」モゾモゾ
橘「僕の背中で温めようとするな!!」
棚町「え~、いいじゃな~い。あたしとあんたの仲でしょ?」ニヤニヤ
橘「だからって、うわぁ、手を動かすな!! 脇腹をつかむな!!」
棚町「あはははは!! こら、逃げないの!!」
梅原「やれやれ、朝から見せつけてくれぜ」
田中「あはは... 本当だね」
・・・・・
・・・・
・・・
ドアの外
桜井「うう~... あんな雰囲気じゃ誘えないよ~」
伊藤「ほんっと、あのふたりは仲がいいわね...」
桜井「ど、どうしよう、香苗ちゃん?」
伊藤「任せなさい、桜井。ここは助っ人を頼みましょう」
桜井「助っ人? 誰のこと~?」
伊藤「ふふ~ん、あたしの相方よ♪」
桜井「も、もしかして、梅原君!? いつの間に~?」
伊藤「あ、あたしのことはいいから!!///」
伊藤「なんとしても週末、橘君とお泊りデートをするのよ!!」
桜井「う、うん!! 頑張るよ!!」
昼休み 教室
梅原「大将、今日の昼飯はどうすんだ?」
橘「そうだな...」
梅原「たまにはテラスでも行かないか?」
橘「ええ、こんな寒い日に!?」
梅原「ま、まぁまぁ。寒い日に外で食べるラーメンもいいもんだぜ?」
橘「そ、そうか...?」
梅原「いいじゃねぇか、俺がおごってやるからさ!!」
橘「まぁ、そう言うなら...」
梅原「よし、決まりだ!! 早く行こうぜ!!」
橘「お、おい、梅原。待ってくれよ」
・・・・・
・・・・
・・・
テラス
橘「うう、やっぱり寒いな」
梅原「ああ、尋常じゃないくらいな…」
橘「ここにいるのって僕たちだけなんじゃないか...」
梅原「そうだな...」
橘「僕、やっぱり中で食べるよ」
梅原「ああ、ちょっと待ってくれ、大将!!」
橘「だって寒すぎるよ...」
梅原「も、もうちょっと冬の季節感を味わってだな...」
梅原(香苗さん、早く来てくれ...!!)
伊藤「お~い、そこのお二人さん!!」
橘「え? あ、香苗さんと梨穂子じゃないか」
桜井「こ、こんにちは。純一」ドキドキ
伊藤「こんな寒い日にテラスでご飯食べてるの?」
桜井「風邪ひいちゃうよ~?」
橘「いや、梅原がどうしてもって言うから」
梅原「いやぁ、寒い中で食べるラーメンもいいもんかな、と思ってな」
伊藤「ふ~ん... 変わった趣味してるわね」
梅原(香苗さん... 呼び出しておいてそれはないぜ...)ガックリ
伊藤(ごめん、正吉君!! あとで埋め合わせはするから)
桜井「と、ところで純一。昨日、私が部室に来る前に帰っちゃったんだって?」
橘「ああ、ちょっと用事があったんだ」
梅原「おいおい、可愛い幼馴染を放って帰るなんて、どんな用事だったんだ?」
伊藤「あ、私も気になる!!」
橘「大した用事じゃないよ。週末、両親が出張で、僕独りだから買い出しに行っただけさ」
梅原「ああ、そういえばそう言ってたな」
伊藤「へ~、そうなんだ。でも橘君って料理できるの?」」
橘「あまり得意じゃないんだけどね。まぁ、普通かなぁ」
橘「昨日の買い出しも洗剤ばっかりで、食材は買ってないし」
橘「インストタントやレトルトで十分だよ」
梅原「だったら、桜井さんに作りに来てもらえばどうだ?」
桜井「ええっ!?」
伊藤(正吉君、グッジョブ!!)
伊藤「あ、それいいわね。桜井、あんたはどう?」
桜井「わ、私!? ええと... 週末は特に予定は無いよ~///」
橘「い、いや。それはまずいだろ... 美也もいないし」
桜井「お、お母さんには私から言っておくよ!! 家も近所だし!!」
伊藤「ついでに泊まっちゃえば?」
橘「ええっ!? それはさすがに...」
桜井「純一の家なら、お父さんも許してくれると思う...///」
桜井「ちょうど、新作のお菓子のレシピも仕入れたところだし...」
梅原(頑張れ、桜井さん!! もうひと押しだ!!)
桜井「ね、駄目かな...?///」ドキドキ
伊藤「橘君だって、桜井の料理の上手さは知ってるでしょ?」
伊藤「この際、作りに来てもらえばいいじゃん!!」
橘「う~ん... まぁ、梨穂子がいいって言うなら...///」
橘「確かに梨穂子の料理は美味しいし、料理するの面倒だったしな」
伊藤・梅原(よっしゃ!!)
桜井「う、うん!! えへへ、お安い御用だよ~///」
伊藤「よかったね~、桜井?」
桜井「か、香苗ちゃん!! も~///」
橘(なんか、半ば強引に決まったような気がするけど...)
橘(まぁ、梨穂子が来てくれるならいいか///)
梅原「さて、じゃあそろそろ戻ろうぜ」
橘「ああ、そうだな」
放課後 教室
薫「純一、一緒に帰らない?」
橘「ごめん、今日はちょっと用事があるんだ」
薫「え~、せっかくあたしが誘ってあげてるのに~!?」
橘「なんで上から目線なんだよ」
薫「当然でしょ~。あたしのようないい女のお誘いを断るなんてさ」
薫(最近、絢辻さんの手伝いばっかりで一緒に帰れないのに...)ムスー
橘「はいはい、また今度誘ってくれよ。じゃあな」
薫「今度、純一のおごりだからねー」
・・・・・
・・・・
・・・
校門
桜井「おーい。純一~」
橘「悪い、梨穂子。少し遅れたな」
桜井「私も来たばかりだから平気だよ~」
橘「そのわりには鼻が赤いぞ」
桜井「ええっ!?」
橘「ずっと待っててくれたんだろ? ごめんな」
桜井「えへへ...///」
橘「ほら、これ」ファサ
桜井「へ? 純一のマフラー?」
橘「これで少しは暖かいだろ?」
桜井「で、でもこれじゃ純一が...」
橘「僕は平気さ。ほら、早く行かないとお店が閉まっちゃうぞ?」
桜井「う、うん!! ありがとう、純一///」
商店街 アーケード
桜井「それで、明日、純一はどんなのが食べたいの?」
橘「う~ん... なんでもいいぞ?」
桜井「え~、それが一番困るよ~」
橘「でも、梨穂子の作る料理は本当に美味しいからなぁ」
橘「何を食べても外れがないんだよな」
桜井「そ、そうかな///」
桜井「でも本当になにかリクエストはないの?」
橘「う~ん...それじゃあ、鍋がいいかな」
桜井「お鍋?」
橘「うん、温まるし、冬の醍醐味って感じだし」
桜井「そうだね~。うん、お鍋にしようか」
橘「よし、そうと決まれば早速、食材を買いにいくか!!」
桜井「うん!!」
商店街 スーパー
桜井「えーと... お豆腐、ネギ、豚バラ肉と...」
橘「えのき茸も忘れずにな」
桜井「あ、そうだった。野菜売り場へ戻らないと~」
橘「ニラも入れたら美味しいんじゃないか?」
桜井「あ、それもいいね~♪」
桜井(えへへ~、なんだか新婚さんみたいで嬉しいな♪///)
橘「締めはどうする? やっぱり雑炊だよな」
桜井「へ? うどんじゃないの?」
橘「え? うどんなのか?」
桜井「え? 違うの?」
橘「...」
桜井「...」
橘「梨穂子、明日の鍋ってもつ鍋だよな?」
桜井「ええっ!? 豆乳鍋じゃないの?」
橘「いやいや、もつ鍋だろ?」
桜井「ええ~、豆乳鍋も美味しいんだよ~?」
橘「プリプリとしたもつの食感と、ピリ辛味噌のスープが絶妙なんだぞ?」
桜井「豆乳のコクと、豚バラ肉の肉汁の組み合わせは鉄板なんだよ?」
橘・桜井「むむむ~...」
橘「じゃあ、両方組み合わせて『豆乳もつ鍋』なんてどうだ?」
桜井「あ、それ美味しそう~!!」
橘「これだったら僕も梨穂子も満足できるし」
桜井「うん、そうだね~♪ でも...」
橘「ん? どうした?」
桜井「さっき、何でもいいって言ったのは誰でしたかね~?」ニヤニヤ
橘「う... な、鍋にはこだわりがあるんだよ」
桜井「あはは、冗談だよ~」
・・・・・
・・・・
・・・
スーパー 物陰
夕月「しかしまぁ、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいだね」
飛羽「...バカップル」
夕月「鍋の献立で、ああもイチャつけるのが羨ましいよ、まったく」
飛羽「...同感」
夕月「鍋といったらカニ鍋の一択だろーに」
飛羽「...甘い。もつ鍋こそが至高」
夕月「おいおい、愛歌。本気かい?」
飛羽「...もつの食感と、味噌ともつの旨みを吸った野菜の組み合わせ」
飛羽「まさに鍋の王様。 ...橘はわかっている」
夕月「はっ!! プリプリのカニとシャキシャキとした春菊の組み合わせ!!」
夕月「これこそが鍋の王道さ!!」
夕月・飛羽「むむむ~...」
夕月「...よし、そこまで言うなら決着をつけよう」
飛羽「...望むところ」
夕月「勝負は麻雀で!! いいかい?」
飛羽「...面子はどうする?」
夕月「あたしと愛歌、そしてりほっちと橘に決まってる!!」
飛羽「...いいだろう。ところで」
夕月「あれ、りほっち達は?」
飛羽「...とっくに店を出て行った」
・・・・・
・・・・
・・・
帰宅途中 住宅街
橘「結構、買ったな」
桜井「大丈夫。重くない?」
橘「平気だよ、これくらい」
桜井「ついつい、いっぱい買っちゃったね~」
橘「はは。そのぶん、明日が楽しみだな」
桜井「任せてよ~。腕によりをかけちゃうんだから♪」
橘「ああ、楽しみにしてるよ」
桜井「えへへ、期待していいからね」
桜井「ところで、明日は何時頃からお邪魔していいの?」
橘「ん~...そうだな。父さん達は朝からいないし...」
橘「美也も昼過ぎには中多さんの家に行くから...」
橘「午後からだったらいつでもいいぞ」
桜井「うん、わかったよ~」
橘「じゃあ、明日な」
桜井「うん、じゃあね~♪」
・・・・・
・・・・
・・・
夜 桜井家
桜井「ね、ねぇ、お母さん。週末、純一の家に行っていいかな?」
桜井母「橘さんの家に? 確かご両親が出張でいないって聞いたけど?」
桜井「うん、だから純一にご飯を作ってあげようと思ったんだけど...」
母「純一君に?」
桜井「ひとりきりだし、料理するのが面倒だって言うから...」
母「ふ~ん、それで梨穂子が作りに行ってあげるってわけね?」ニヤニヤ
母「いいんじゃない? なんならお泊りしていきなさいな、ねぇ、お父さん?」
父「ああ。とびっきり美味しい料理を作って純一君にアピールしてこい」ニヤニヤ
母「そうねぇ。梨穂子は子供っぽいから、色恋沙汰を聞かなくて心配してたけど」
母「ちゃんと青春してるのねぇ。安心したわ」
父「頑張ってこいよ、梨穂子」
桜井「お、お父さん!! お母さんも...///」
母「うふふ、ちゃんと着飾って行きなさいよ?」
桜井「もぅ~...///」
土曜日 午後 橘家
美也「じゃあ、にぃに。みゃーは紗江ちゃんの家に行ってくるからね」
橘「ああ、気をつけて行けよ」
美也「大丈夫だよ。あ、明日には帰ってくるからね」
橘「ああ、紗江ちゃんによろしく言っておいてくれ」
美也「はいは~い。いってきまーす!! って、りほちゃん!?」
桜井「こんにちは、美也ちゃん」
美也「あれ、どうしたの? にぃにに用事?」
橘「よう、梨穂子。もう来たのか?」
桜井「うん/// でも、ちょっと早かったかな...?」
橘「いや、そんなことないぞ。どうぞ、上がって」
桜井「おじゃましま~す」
美也「あれ? ねぇ、にぃに。りほちゃんとどっかに行くの?」
橘「いや、ご飯を作りに来てくれたんだ」
桜井「えへへ... 週末はひとりきりだって言うからね」
美也「あ、そうなんだ。ちゃんと手伝わないとダメだよ、にぃに」
橘「わかってるよ。ほら、そろそろ行かないと間に合わないぞ?」
美也「え? わわ、もうこんな時間!? いってきまーす!!」
桜井「いってらっしゃ~い」
橘「やれやれ、慌ただしいやつだな」
桜井「あはは、美也ちゃんらしいね~」
・・・・・
・・・・
・・・
橘家 リビング
桜井「やっぱりこの時期はコタツが一番だね~」
橘「鍋料理と並ぶ、冬の醍醐味だな」
桜井「うん。そうだね~」
橘「ほら、ミカン食べるか?」
桜井「え、いいの? 食べる食べる~♪」
橘「すごく甘くて美味しいぞ」
桜井「どれどれ~。うん、本当だ!! 美味しいよ~♪」ニコニコ
橘「...っ!!///」キュン
桜井「あれ? 純一、顔赤いよ?」
橘「あ、いや... なんでもない」
桜井「ん~? 大丈夫? 風邪でもひいた?」ズイ
橘「だ、大丈夫だって!!///」ドキドキ
桜井「そう? ならいいけど~?」
橘「そ、そういえば、新しいお菓子って何なんだ?」
桜井「あ、そうだった。もう作って持ってきたんだった」
桜井「待ってて、今持ってくるから」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
桜井「はい、これだよ~」
橘「どれどれ... お、アップルパイか?」
桜井「うん、初めて作ってみたから、自信ないんだけど...」
橘「見た目は十分、美味しそうだぞ?」
桜井「とりあえず、食べてみてよ」
橘「ああ、わかった。いただきまーす」モグモグ
桜井「ど、どうかな...?」
橘「うん、美味しい!!」
桜井「ほ、本当?」
橘「ああ、本当に美味しいぞ」
桜井「良かった~♪」
橘「甘すぎず、適度な酸味があるな。生地もサクサクしてるし」
桜井「えへへ~。そう言ってもらえると嬉しいよ~♪」
橘「また梨穂子のレパートリーが増えたな」
桜井「うん!! えへへ///」
桜井「じゃあ、私もいただこう~っと」
橘「梨穂子、もう一枚もらっていいか?」
桜井「もちろん!! どんどん食べて♪」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
晩御飯の準備中
桜井「あ、灰汁が出てきた」
橘「やっぱり豚バラ肉がはいると出ちゃうよな」
桜井「そうなんだよね~。よいしょっと」
橘「...よく灰汁だけ上手にすくえるな」
桜井「え、簡単だよ?」
橘「僕がやると、汁も一緒にすくっちゃうんだよ」
桜井「こうやってお鍋の端っこに寄せて...」
橘「ふむふむ」
桜井「そしておたまで... ほら」ヒョイ
橘「ちょっとおたま貸してくれ」
桜井「はい、これ」
橘「え~と、お鍋の端に寄せて...」
桜井「そうそう、上手」
橘「そして... こうだ!!」ヒョイ
桜井「あはは~、残念。汁もすくっちゃったね~」
橘「う~ん、難しいな...」
桜井「じゃあ、純一。練習がてら灰汁をすくっておいて?」
橘「おう、いいぞ。梨穂子はどうするんだ?」
桜井「私はそのあいだ、もう一品作ってるから」
橘「わかった。よし、灰汁を残らずとってやる!!」
桜井「お鍋の汁は残しておいてよね~?♪」
橘「おいおい、梨穂子~」
桜井「えへへ~、冗談だよ~♪」
・・・・
・・・
・・
食後 リビング
橘「あぁ~、お腹いっぱい」
桜井「あはは。結局、うどんも雑炊も食べちゃったね~」
橘「しばらく、鍋はいいかな...」
桜井「あたしも~」
橘「で、梨穂子。このあとはどうするんだ?」
桜井「えっ!? え、え~と...」
桜井(お、お泊りするつもりだったんだけど...)
桜井(そういえば純一にはちゃんと伝えてなかった...)
橘(梅原や香苗さんが『泊まってもらえ』って言ってたけど)
橘(さすがにそれは出来ないよな...)
橘「帰るなら送っていくけど...」
桜井「あ、あの!!」
桜井「わ、私!! 今日、と、泊まっていこうかなって...///」
橘「ええっ!? と、泊まるって... 僕の家に!?」
桜井「お父さんとお母さんも許してくれたし、着替えも持ってきてるし!!///」
桜井「そ、その... 嫌、じゃなければ...だけど」
桜井「泊まっても...いいかな?///」
橘「え、えーと、その...」
橘(泊まるってことは... も、もしかして///)
橘(い、いや!! 僕たちはまだ高校生!!)
橘(さらに僕は紳士!! そんなことはまだ早い!!)
橘(で、でも梨穂子がどうしてもって言うなら...///)
桜井「あ、あの... 純一?」
橘「し、仕方がないな... そこまで言うなら///」
桜井「え!? いいの...!?」
橘「まぁ、僕も一人で寂しかったしな///」
桜井「ありがとう!! えへへ~、嬉しいなぁ///」ニコニコ
橘(...!! か、可愛い///)
・・・・
・・・
・・
リビング TVを観ながらこたつでまったり中
レポーター「今回は輝日東の名店のスイーツを紹介していきまーす!!」
桜井「あ、純一!! 輝日東のスイーツ特集だって~!!」
橘「へぇ、どんな店が出るんだろうな」
レポーター「まずはこのお店のクレープからまいりましょう!!」
桜井「あ、このお店知ってる~」
橘「ああ。この店、有名だよな」
桜井「よく香苗ちゃんと行くんだ~♪」
橘「そうなのか。僕はあまり行かないな」
桜井「あれ? 純一、クレープ苦手だったっけ?」
橘「いや、そうじゃなくて。店の雰囲気がちょっとな...」
桜井「あ~... いかにも『女の子』って雰囲気だもんね」
橘「そうそう。だからなかなか行けなくてさ」
桜井「確かに男の子だけだったら入りづらいよね~」
レポーター「続いてはこちらのエクレアを...」
桜井「あ、ここも知ってる!!」
橘「僕は初めて聞いたな」
桜井「ここのエクレアは絶品なんだよ~」
桜井「サクサクの皮の中にトロトロのクリームが入ってるんだ~♪」
桜井「そして上にかかってるチョコレートが甘さ控えめで絶妙なんだよ~」
レポーター「...そしてこの上にかかってるチョコレートが甘さ控えめで...」
橘「レポーターも梨穂子と同じことを言ってるな」
桜井「このレポーターさんはわかってるね~」
橘「...むしろ、梨穂子のほうが知り尽くしてるんじゃないか?」
レポーター「では最後にこの冬とっておきのスイーツをご紹介します!!」
桜井「あっ!! 私、このお店知らない!!」
橘「梨穂子でも知らない店があるのか」
レポーター「この冬、オープンしたばかりのこのお店の注目スイーツは...」
桜井「あ、オープンしたばかりなんだ」
橘「なになに... へぇ、チーズケーキが絶品だってさ」
桜井「うわぁ~...美味しそ~」
橘「レアチーズケーキにブルーベリーソースがかかってるのか」
桜井「この組み合わせは絶対美味しいよ~」ホワ~ン
橘(さっきあんなに食べたのに...)
レポーター「ただいまこのお店ではオープンキャンペーンとして」
レポーター「カップルで来るとシュークリームをプレゼントするサービスも実施中です!!」
桜井「っ!!」
桜井「...///」
桜井「...あ、あの~... 純一?///」
橘「ん、どうした?」
桜井「よかったら今度、このお店に行ってみない?」
橘「梨穂子と? ああ、いいぞ」
桜井「本当!? いいの?///」
橘「いいのって... 梨穂子が誘ってきたんだろ?」
桜井「あ、そ、そうだった... えへへ///」
橘「はは。変なやつだな」
桜井「ええ~。それはひどいよ~」
桜井(えへへ♪ 純一とデート///)
・・・・
・・・
・・
リビング 風呂上り
桜井「あ~、気持ちよかった///」ホカホカ
橘「お、出てきたか。湯加減はどうだった?」
桜井「ちょうどよかった~。ごめんね、先に入っちゃって」
橘「ああ、気にしなくていいよ。じゃあ、僕も入ってくるかな」
桜井「いってらっしゃーい」
・・・・
・・・
・・
橘「あーさっぱりしたー」
桜井「もう出てきたの? ちゃんと温まった?」
橘「のぼせやすいんだよ。これでもちゃんと温まったんだぞ?」
桜井「あー、そういえばそうだったね~」
桜井「小さい頃、うちに来た時もすぐにお風呂から出てたもんね~」
橘「そんなこともあったな。でもよく覚えてるな」
桜井「忘れるわけないよ。大切な思い出だもん///」
橘「っ!! そ、そうか...///」
桜井「...///」
橘「...///」
桜井「...あ、あの」
橘「え? あ、どうした?///」
桜井「わ、私...今日、どこで寝たらいいのかな?」
橘「あ、あー... そうだな」
桜井「あ、リビングでも構わないよ?」
橘「いや、えーと...」
桜井「ん?」
橘「その... よ、よかったら僕の部屋で寝ないか?」
桜井「え、純一の部屋って... ええ!?///」
橘「その!! 変な意味じゃなくてだな!!」
橘「梨穂子ともっと色々、話したいし...
橘「いや、嫌だったら別にいいんだぞ!?」
桜井「...ううん、嫌じゃないよ?///」
橘「そ、そうか...///」
・・・・
・・・
・・
純一の部屋
橘「...」
桜井「...」
橘「...」
桜井「...」
桜井「じ、純一... もう寝ちゃった?」
橘「いや、まだ起きてるぞ」
桜井「...そっか」
桜井「ご、ごめんね? ベッド借りちゃって」
橘「いや、気にするなよ。お客さんを床には寝させられないしな」
桜井「でも...」
橘「予備の布団を使ってるから問題ないし」
桜井「ありがとう。 ...やっぱり純一は優しいね」
橘「そうか?」
桜井「うん。小さい頃から、ずっと優しかった///」
橘「...なんだか照れるな」
桜井「...純一の部屋で寝るのって久しぶり」
橘「そうだな。でも何も変わってないだろ?」
桜井「あはは。そうだね」
橘「おいおい... 笑うことないだろ?」
桜井「ごめんね~。でも本当、変わってないよね」
・・・・
・・・
・・
桜井「純一..?」
橘「...」
桜井(寝ちゃったか...)
桜井「あのね... さっき、純一は変わらないねって言ったけど」
桜井「実は私も、小さい頃から変わってないものがあるの」
桜井「...私の『気持ち』」
橘「...」
桜井「最近、純一と昔みたいにたくさん話すようになって」
桜井「私、すごく嬉しいの」
桜井「話してるだけで嬉しくて、想うだけで切なくて」
桜井「...一緒に居るとドキドキするの」
桜井「私ね、ドジで可愛くないから」
桜井「純一の周りにいる女の子より魅力ないかもしれないけど...」
桜井「この気持ちだけは誰にも負けないよ?」
桜井「でも、まだ伝える勇気がないから...」
桜井「こんなふうにしか言えないけど...」
桜井「必ず、伝えるから...」
桜井「待っててね///」
橘「...」
・・・・
・・・
・・
ありがとうございます!! とても励みになります。
月曜日 通学路
橘「うう~。寒い...」
橘「はぁ、今日からまた一週間が始まるのか」
桜井「お、おはよ~。純一///」
橘「お、おう。 ...おはよう、梨穂子///」
桜井「えへへ。今日も寒いね」
橘「まったくだな。ああ、改めて週末はありがとうな」
桜井「いいの。私も久しぶりに純一の家に行けて嬉しかったし///」
橘「...そっか///」
棚町「純一、おっはよ!!」バシッ
橘「痛ぇ!!」
桜井「わわ!! 純一、大丈夫!?」
橘「朝から何するんだ、薫!!」
棚町「寝ぼけ顔のあんたに喝を入れてやったのよ♪」
橘「何も思いっきり背中を叩かなくてもいいだろ!!」
棚町「なーに言ってんのよ?」
棚町「あたしが本気だったら、こんなものじゃないわよ」
橘「さらっと怖いことを言うなよ...」
桜井「あ、あはは... おはよう、棚町さん」
棚町「おはよう、桜井さん♪ 今日も寒いわねー」
桜井「本当。お布団が恋しいよ~」
棚町「あー、その気持ちわかる!!」
橘「やれやれ...」
絢辻「おはよう、橘くん、棚町さん、桜井さん」
橘「あ、絢辻さん。おはよう」
棚町「おはよう、絢辻さん」
桜井「絢辻さん、おはよう」
絢辻「ふふ、朝から賑やかね」ニコ
棚町(...あたしと純一の邪魔をしに来たわね)
絢辻(抜けがけはさせないわよ、棚町さん)
棚町「今日も寒いわね~」ゴゴゴゴ…
絢辻「ええ、そうね~」ゴゴゴゴ…
橘(なんだろう、二人から凄いオーラを感じる)
桜井(...やっぱり二人とも凄く綺麗...)ハァ
絢辻「そう言えば橘君、先週の週末はご両親が留守だったんだって?」
棚町「え!? そうだったの!?」
橘「ああ、出張でね。妹も友達の家に泊まりに行ってたし...」
絢辻「ひとりでちゃんとご飯作れた?」
棚町「出来るわけないじゃない。どうせインスタントでしょ?」
橘「そうなんだよ。だから梨穂子がわざわざ来てくれたんだ。な?」
桜井「えっ!? う、うん///」
絢辻・棚町「っ!?」
橘「すごく助かったんだよ。料理も美味しかったし」
絢辻「...つまり週末は桜井さんと過ごしたってことかしら?」
棚町「...桜井さん、本当なの?」
桜井「え~と、家が近かったし、幼馴染だから色々と心配で、その...」
橘「材料も一緒に買いに行ったしな。久々に泊まってったし」
桜井「じ、純一!! それは言ったら・・・///」
棚町「...純一」ゴゴゴゴ…
絢辻「...橘くん」ゴゴゴゴ…
橘「あ、あれ...? なんかふたりとも怒ってない...?」
絢辻・棚町「SE・I・BA・I!!」ドゴォ!!
橘「ぐはぁっ!!」
桜井「純一!? 大丈夫!?」
絢辻「棚町さん、ちょっと話があるんだけど」
棚町「わかってるわ、絢辻さん。作戦会議ね」
絢辻「迂闊だったわ...」
棚町「ええ。料理が得意で、しかも幼馴染... 強敵よ」
・・・・
・・・
・・
橘「いてて...」
桜井「だ、大丈夫?」
橘「ああ、なんとかな...」
桜井「もう、あんなこと話すから...///」
橘「なんで二人が怒ったのか、さっぱりわからないよ...」
桜井「もう、鈍感なんだから...」
橘「なんのことだ?」
桜井「なんでもないです~」
橘「あ、そういえば梨穂子」
桜井「ん? なに?」
橘「...勇気がでたらいつでも言ってくれよ?」ニヤリ
桜井「え? ...え~!?///」
桜井「お、起きてたの...?///」
橘「さぁ、どうだろうな?」
桜井「もう~!! 純一の意地悪~!!」
・・・・
・・・
・・
梅原「どうやら今回はうまくいったようだな」
伊藤「まったく世話が焼けるんだから、桜井は」
夕月「どうやらりほっちが一歩リード、ってとこかな」
飛羽「そのままトップで逃げ切り...」
夕月「ま、可愛い後輩の為だ。陰ながら応援してやるか」
・・・・
・・・
・・
完
これにて終了です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
また機会があれば投稿するので、そのときもぜひお付き合いください。
改めて、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
微笑ましい
乙
何で俺には幼馴染が居ないんだ…
あと一ヶ月か
乙乙
俺は今年のクリスマスは徹夜で絢辻さんを攻略すると決めている
名作は色あせませんわ
お前アニメをリアルタイムでみた関西人の前でもそれが言えるのか
俺は関西住まいだよ
コノヤロー
>>1はリホコスキーなんだね
過去作品も面白かった
また書いてくれ乙
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