アマガミのSSです。至らない点もあるかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。
3連休初日 キビトランド ファラオの謎出口
棚町「あははははははっ!!」
橘「わ、笑い事じゃない!!」
棚町「だ、だって、本当に、女に、な、なって... あはははははっ!!」
橘「くそ...前回は薫だけだったのにどうして...」
棚町「ひ、日頃の行いじゃないの? あんた変態だし... ぷっ...あはははっ!!」
橘「しかもなんで館から出たのに戻ってないんだ!?」
棚町「か、髪も伸びてるし... く、苦し... あはははははっ!!」
橘「せっかく3連休だから、薫と遊園地に来たのに...」
10分後
棚町「あー、笑った笑った」
橘「笑いすぎだろ...」
棚町「いやー、ここ最近でいちばん笑ったわー」
橘「はぁ...これからどうしよ...」
棚町「そうねー... せっかく女の子になったんだから、ちょっと化粧してみない?」
橘「はぁっ!?」
棚町「素材はまぁまぁだから、ちょっと手を加えるだけで結構、イケると思うのよね~」ニヤニヤ
橘「全力で遠慮する!! そうだ、もう一度入れば、元に戻るかも...」
棚町「何、言ってるのよ!! それじゃあ、面白くないじゃない!!」
橘「面白くなくていいんだよ!! こんな姿のままじゃ...」
棚町「大丈夫よ。あたし、化粧道具持ってきてるからさ」
橘「そういう問題じゃなくて!!」
棚町「うっさい!! 暴れんじゃないの!!」
キビトランド 芝生
棚町「眉を整えて、マスカラもつけて...」
橘「なぁ、薫...」
棚町「動くんじゃないの」
橘「...」
棚町「ちょっとチークつけて、あとは口紅つけて... はい、完成!!」
橘「変なふうにしてないだろうな」
棚町「ふふ~ん。それは鏡を見てから言いなさい!!」
橘「...!!」
橘 (こ、これが僕なのか!?)
棚町「どう?」
橘 (か、可愛いぞ...? きりっとした眉、肩までのびた髪、そして柔らかそうな唇...)
橘 (二重まぶたで瞳がぱっちりしてるけど、元が男だったせいか、凛々しさもある!!)
橘 (なんてことだ!! 完璧じゃないか!!)
棚町「気に入ってくれたみたいね」ニヤニヤ
橘「あ、ああ。自分でも驚いてるよ」
棚町「背も高いし、胸もあってスタイル抜群なのよね~。羨ましいわ」
橘「む、胸も!?」
棚町「そ、あたしより大きいの。失礼しちゃうわ!!」
橘 (ほ、本当だ!! そういえば股の感触も違うぞ...!?)
橘 (本来ならばあるはずのものが...無い!!)
棚町「あとは服装ね。今の服でもおかしくないけど、せっかくだし...って」
棚町「どうしたの? 急に落ち込んだりして」
橘「いや...なんでもない」
橘 (ちゃんと戻るよな...?)
駅前商店街 ランジェリーショップ
橘 (ぼ、僕は今、禁断の花園に足を踏み入れている!!)
棚町「んー... 見たところCってところかしら。だったらこれかな」
橘 (女性の下着ってこんなに種類があったのか!!)
棚町「ねぇ、純一。ちょっとサイズ合わせるから試着室に行きましょ」
橘「ええ!? いや、それはさすがに... いや、決して見たくないというわけじゃなくて!!」
橘「その、急に言われても... でも薫がどうしても見て欲しいって言うなら!!」
棚町「はぁ? あんた、なに言ってんの。どうしてあたしがあんたの下着を試着しないといけないのよ?」
橘「え、薫が手に持ってる下着って僕のなのか!?」
棚町「当然でしょ? ブラしないと形が崩れるのよ? それにこれから女性用の服も買うんだから」
橘「服まで!? 僕はそこまで変態じゃないぞ!?」
棚町「今のあんたは女の子なのよ!? なのに男物の下着を履いてるほうがよっぽど変態よ!!」
橘「うっ...!!」
棚町「わかったら、さっさとこっち来なさい!!」
試着室
棚町「はい、じゃあ上着脱いで」
橘「...///」ヌギヌギ
棚町「やだ、本当にあたしより大きいじゃない。なんかショックだわ...」
橘 (僕は一体、何をやってるんだろう...)
棚町「そしたらホックを止めるから背中向けて。そう。もっとこっちに向けて」
橘「こ、こうか...?」
棚町「そうそう、それでちょっと寄せて、と」サワッ
橘「うわぁっ!! 何するんだ!!」
棚町「ちょっと!! 変な声出さないでよ!! 周りから変なふうに思われるじゃない!!」
橘「だ、だって薫が、いきなり胸を揉んでくるから...」
棚町「形を整えただけでしょ!! こうしないと擦れて大変なことになるんだから!!」
橘「でもいきなり...」
棚町「いいから、あんたは大人しくしてればいいの!!」
橘「うう...」
駅前商店街 路地
橘「なぁ、薫...///」
棚町「んー? なーに、純子ちゃん?」ニヤニヤ
橘「じゅ、純子ちゃん!?」
棚町「その格好で『純一』なんて呼んだら変じゃない」
橘 (言い返せない...)
棚町「心配しなくても大丈夫よ。あんた、結構可愛いわよ?」
橘「そ、そうなのか?」
棚町「普通の女の子より背が高いからパンツにしたけど、思った以上に似合ってるしね」
棚町「だからそんなこそこそ歩いてないで、もっと堂々と歩けばいいの!!」
橘 (確かに薫のファッションセンスはいいからな...鏡で見たときも違和感なかったし)
棚町「ほら、こっち来なさいよ。はい、背筋も伸ばして!!」
橘「あ、ああ」
棚町「せっかく女の子になったんだから、この状況を楽しまないと損よ?」
橘「でも薫はいいのか? せっかくのデートだったのに...」
棚町「いーの、いーの!! これ以上に面白いことなんてある?」
橘「面白いかどうかは別として、滅多にない機会だとは思うよ」
棚町「でっしょー? だから今は思いっきり楽しめばいいのよ!!」
橘「そうか...そうだな!! よし、今日は女の子気分をたっぷり味わうぞ!!」
棚町「それに、またデートに誘ってくれればいいし///」ボソッ
橘「ん? なんか言ったか?」
棚町「な、なんでもないわよ!! やっといつもの調子に戻ってきたわね」
橘「ああ、今から僕は『純子』だ!!」
棚町「あはははっ!! じゃあ行くわよ!!」
商店街 雑貨屋
棚町「あ、このキーホルダー可愛い~」
橘「どれどれ? うん、確かに可愛いな」
棚町「でしょでしょ!! あ、でもこっちもいいわね」
橘「そうか? 僕は最初のほうがいいな...」
棚町「そう? じゃあ、そっちにするわ」
橘「まぁ、つけるのは薫だから好きな方にすればいいんじゃないか?」
棚町「何言ってんの。あんたもつけるのよ」
橘「え、僕も?」
棚町「せっかくデートしてるんだから、お揃いのが欲しいじゃない」
橘「ま、まぁ、そうだな///」
棚町「それと今は『僕』じゃなくて『私』でしょ?」
橘「う... そうだった」
棚町「ほらほら、わかったらさっさと買ってきなさいよ」
橘「ええ!! ぼ...じゃなくて私が払うの!?」
棚町「女の子へのプレゼントは男が買うのが全世界共通のマナーよ。覚えときなさい」
橘 (今、僕は女の子なんだけど...)
橘「わかったよ、買ってくるよ」
棚町「んふふ、て~んきゅ♪」
橘 (...!! ま、まぁ薫も喜んでるしいいよな///)
駅前通り 路地
橘「さて、まだ時間あるけどどうする?」
棚町「そうねぇ...」
???「あら、棚町さんじゃない」
棚町「えっ? あら絢辻さん」
橘「えっ!?」
絢辻「うふふ、こんにちは」
棚町「こんにちは、絢辻さん。こんなところで会うなんて珍しいわね?」
絢辻「ええ、本屋に参考書を買いに来た帰りなの」
橘 (まずい!! この状況はまずいぞ!!)
橘 (僕がこんな格好してることが絢辻さんにバレたら...)コソコソ
絢辻「...ところで棚町さん。そちらの方はお友達?」
棚町「え? 純一のこと?」
橘 (おい、薫!?)
絢辻「純一?」ピクッ
棚町「あ~...じゃなくて純子ちゃんのことね」
絢辻「純子さん、っていうの? えと、顔がよく見えないんだけど...」
棚町「え、え~と、純子ちゃんは人見知りなのよ!!」
絢辻「...人見知り?」
棚町「そ、そうなの。可愛いのにもったいないわよね!!」
絢辻「ええ、とても綺麗な人ね。 ...でも」
棚町「でも?」
橘 (......)ドキドキ
絢辻「なんとなく橘くんに似てるような気がするのよね」
橘・棚町「っ!?」
棚町「や、や~ねぇ、絢辻さん。純一がこんな格好するわけないじゃない!!」
絢辻「そうよね...でも仕草も雰囲気もそっくり」
棚町「そ、そうかしら?」
絢辻「......」
橘 (......)ハラハラ
絢辻「...そういえば、棚町さん。ちょっと聞きたいんだけど」
棚町「え、何?」
絢辻「最近、学校の女子更衣室に覗き魔が出るらしいの」
棚町「ええ!? 嘘!?」
絢辻「目撃者の話によると橘くんにそっくりらしいんだけど、何か知らないかな?」
棚町「ええっ!? ちょっと、純一!! あんたそんなことしてたの!?」
橘「ぼ、僕はそんなことしてないよ!?」
橘・棚町「...あ」
絢辻「やっとボロをだしたわね」ニヤリ
絢辻「さ、どういうことか聞かせてもらいましょうか?」
駅前 ファミリーレストラン
絢辻「なるほど、そういうことだったのね」
橘「...はい」
絢辻「それでそんな格好している、と」
橘「...はい」
棚町「せっかく可愛い女の子になったんだから、ちょっといじりたくなったのよ」
絢辻「まぁ、確かに可愛いわね。というより綺麗、といったほうが言いのかしら」
棚町「そうそう!! キリッとした顔立ちだからスカートよりもパンツにしてみたの」
絢辻「そうね、スカートよりはこっちの方がいいわ。体のラインもスッキリしてるし」
橘 「ほ、褒められてるのかな...?」
棚町「そうね、レベルは高いほうだと思うわよ」
絢辻「なんか複雑な気分だけどね」
橘「はは...」
棚町「でもまさか本当の女の子になるなんて、びっくりよ」
絢辻「まぁ、あのホラーハウスのせいなら納得できるわね」
棚町「あれ、絢辻さんもあのホラーハウス知ってるの?」
絢辻「ええ、前に橘くんと一緒に行ったの」
棚町「...へぇ?」ピクッ
棚町「私も前入ったわ。純一と遊園地でデートした時にね。今日のデートも『純一から』誘ってくれたのよ」
絢辻「...あら、そうなの」ピクッ
橘 (な、なんか2人の様子が変だぞ?)
絢辻「まぁ、私と橘くんはクリスマス委員の仕事で毎日『2人きりで』作業してるし、『一緒に』帰ってるから」
棚町「あたしはこの前、純一から『女の子からいい匂いがする理由を知りたい』なんて言われて抱きしめ合ったのよね~」
絢辻「...あたしが体調を崩したとき、橘くんがわざわざお見舞いに来てくれたわ」
棚町「学校帰りに隣のクラスの男子と一緒に居たところを純一に見られちゃったらヤキモチ妬かれちゃったし~♪」
絢辻「~~~ッ!!」プルプル
棚町「~♪」ニヤリ
橘 (なんだろう、このただならぬ雰囲気は...)
絢辻「...そろそろ失礼するわ。時間も遅いし」ガタッ
棚町「あら、そう? 私達はもうちょっとデートを楽しんでくるから~」ギュッ
橘「おい、薫!? 急にくっつくなって」
絢辻「...っ!!」ギロッ!!
橘「ひぃっ!!」
絢辻「ふんっ!!」スタスタ
橘「な、なんか絢辻さんから思いっきり睨まれたような...」
棚町「ふふん♪ 放っておきなさい。さぁ、まだまだ行くわよー!!」
連休2日目 キビトランド入口
橘「どうしてこうなった...」
絢辻「何か言ったかしら?」ギロッ
橘「な、なんでもありません!!」
絢辻「よろしい」
橘 (昨日の夜遅くにいきなり電話でキビトランドに誘われたけど...)
絢辻「さて、じゃあ入りましょ」
橘 (やっぱり、薫とデートしたから妬いてくれたのかな?)
絢辻「橘くん?」
橘 (そうだとしたら嬉しいんだけど...)
絢辻「た・ち・ば・な・くん?」ゴゴゴゴゴ…
橘「ひぃっ!? ご、ごめん!!」
絢辻「あたしと一緒じゃ楽しくないの?」ズイッ
橘「いや、そういうわけじゃ...」
絢辻「...やっぱり、棚町さんのほうがいいの?」ズズイッ
橘「ち、違うよ!! ただ、絢辻さんから誘ってくれるって珍しかったから...」
絢辻「...っ!! い、いつもクリスマス委員の手伝いをしてくれるから、そのお礼よ!!///」
橘「そ、そうなんだ」
絢辻「まったく、変なところで鋭いんだから...」ボソッ
橘「え? なにか言った?」
絢辻「いいから入るわよ!!」
ジェットコースター乗り場
絢辻「さ、いきましょ♪」
橘「あ、絢辻さん!? ぼ、僕、高所恐怖症なんだけど...」
絢辻「ええ、知ってるわよ」ニッコリ
橘「じゃ、じゃあ...」
絢辻「やっぱり私なんかと一緒じゃ...」グスン
橘「...乗ります」
絢辻「よろしい♪」
ガタン... ガタン... ガタンッ!!
ゴォォォッ!!
絢辻「キャアアア~~♪」
橘「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
10分後
橘「お、終わった...」
絢辻「ふふっ 楽しかったわね」
橘「絢辻さんはそうだろうね...」
絢辻「ええ、とても楽しかったわ」ニッコリ
橘「はは...」
絢辻「あ、そういえば橘くん?」
橘「うん?」
絢辻「今日もメイクしてるけど、それって美也ちゃんにしてもらったの?」
橘「いや、あいつは昨日から友達の家に泊まりに行ってるよ」
絢辻「え? じゃあ自分でやったの?」
橘「いや、梨穂子に頼んだんだ」
絢辻「...梨穂子?」ピクッ
橘「ああ、隣のクラスの桜井梨穂子だよ。家が近所なんだ」
絢辻「へぇ~... あの幼馴染のねぇ...」
橘「うん、最初は驚いてたけど、事情を話したらノリノリでね」
絢辻「......」
橘「今度、この姿のままデートしよう!! って誘われちゃったよ」
絢辻「...橘くん、もう一度ジェットコースターに乗って、そのあと観覧車に乗りましょ」
橘「えええええっ!?」
絢辻「ほら、行くわよ!!」ズルズル
橘「ちょ... 絢辻さん、手を引っ張らないで!!」
キビトランド出口
絢辻「ああ~、遊んだ!!」
橘「はは... 楽しんでくれたようでよかったよ...」グッタリ
橘 (あのあと、ジェットコースターと観覧車と新アトラクションのフリーフォールに乗って...)
橘 (我ながら、よく今日という日を生き延びることができたものだ...)
絢辻「あら、どうしたの? なんだかひどく疲れてるみたいだけど?」
橘「わかってて言ってるでしょ...」
絢辻「あら、バレちゃったかしら?」
橘「そんな笑顔で言われたらね...」
絢辻「ふふっ いいストレス発散になったわ」
橘「...それはよかったね」
絢辻「ええ。学級委員やクリスマス委員や高橋先生のお手伝いやらで普段忙しいから」
橘「......」
絢辻「たまにはこうやって息抜きしないと、いくら私でも気が滅入っちゃうわ」
絢辻「だから、その... また一緒に来てくれる?///」
橘「...あっ///」
橘 (そうか... 絢辻さんは人のやらないことを率先してやる人だから...)
橘 (いくら自分の評価を上げるためとは言っても、やっぱり疲れるんだろうな)
橘 (こういう風に素の自分を出せる友人って僕しかいないわけだし...)
絢辻「た、橘くん?...えっと...///」
橘「うん、僕でよければいつでも」
絢辻「ほ、本当に!?」
橘「もちろんだよ。絢辻さんとデートできるなんて!!」
絢辻「で、デート!? そうか... そうよね、デートよね///」
橘「今度はどこに行こうか? 水族館もいいよね」
絢辻「ふふっ そうね。誘ってくれるのを楽しみにしてるわ」
橘「ははっ まずはクリスマスパーティーを成功させないとね」
絢辻「ええ。また明日からよろしくね? 橘くん♪」
3連休最終日 駅前商店街
桜井「美味しいね~♪」モグモグ
橘「うん、本当に美味しいな」
桜井「えへへ、でしょ~? ここのクレープは絶品なんだよ~」
橘「生地もふんわりしてるし、クリームも甘すぎないし、フルーツソースの酸味も絶妙だな」
桜井「おお、わかってるね~。純子ちゃん♪」
橘「...どうもその呼び方には慣れないなぁ」
桜井「あはは、でも本当に綺麗だね~。スタイルもいいし羨ましいよ~」
橘「う~ん、女の姿を褒められてもなぁ... まぁ、悪い気はしないけど」
桜井「おお、ついにそっちの世界にいってしまったか~!!」
橘「おいおい、勘弁してくれよ」
桜井「あはは、冗談だよ~」
橘「まったく...」
橘 (でも、こうして歩いてると気のせいか男性からの視線を感じるんだよな)
橘 (なかにはあからさまにいやらしい目でみてる奴もいるし...)
橘 (僕も女性を見るときにああいう顔にならないように気をつけないと...)
桜井「あ、純一~!! これ見てよ~」
橘「ん? ああ、可愛い帽子だな。梨穂子に似合うと思うよ」
桜井「えへへ、そうかな?///」
橘「でも梨穂子は子供っぽい服装が多いからなぁ。その帽子だと、余計に子供っぽく見えるような...」
桜井「え~? この前のデートで着た服はそんなことなかったでしょ?」
橘「ああ、白と黒のワンピースか。確かにあれはいつものパーカーとスカートと違って大人びてたな」
桜井「私だっていつまでも子供っぽいわけじゃないんです~」
橘「ははっ じゃあ今日は梨穂子に似合う大人っぽい服を見てまわるか?」
桜井「え、いいの?」
橘「ああ、構わないさ」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
桜井「えへへ、買っちゃった♪」
橘「いい買い物をしたな」
桜井「うん!! これで私も大人の女性の仲間入りだよ~」
橘「...服を変えれば大人の女性というわけではないぞ」
桜井「こういうのは形から入るものなんです~」
橘「そういうものなのか...?」
???「ちょっと、すいません」
橘「はい?」
桜井「え?」
???「急にすみません。私、芸能事務所でスカウトを担当してる者ですがよろしければ少しお話しませんか?」
橘「スカウト?」
桜井「ええ!?」
スカウトマン「ええ、君たちがすごく可愛いので是非とも話を聞いて欲しいのですが」
橘「か、可愛い!?」
桜井「私達がですか!?」
スカウトマン「はい。見たところ高校生のようだけど、これほどの逸材はなかなかいないよ?」
スカウトマン「そっちの君は背が高くてスタイルも良い。そして整った顔をしてるね!!」
橘「は、はぁ...」
スカウトマン「そして君は可愛い顔で、人を笑顔にする和やかな雰囲気がある。胸もあるしね」
桜井「ええ!? む、胸だなんて...///」
スカウトマン「まったく対照的な魅力を持つ2人だけど、それが良い!! ね、よかったらそこの喫茶店で話だけでもどうかな?」
桜井「い、いえ私達は...」
橘「そういうのには興味はありませんので、失礼します」
スカウトマン「いや、そう言わずに!! 20~30分だけでも、ね?」
桜井「こ、困ります~」
橘「本当に興味がないので」
???「お巡りさん、こっちです」
桜井「え?」
橘「この声は... もしかして」
警官「そこの君、何をしてるんだ。ここではそのようなスカウト行為は禁止されてるんだぞ」
スカウトマン「え、いや、その... それは知りませんでした...」アセアセ
警官「ちょっと署まで来てもらおうか」
スカウトマン「は、はぁ...」
???「ふぅ、大丈夫だった?」
桜井「は、はい。ありがとうございます!!」
橘「やっぱり塚原先輩でしたか」
塚原「私の後輩も声をかけられたらしくてね... 近くに警官がいてよかったわ」
桜井「そうだったんですか~」
塚原「ええと、あなたは確か、桜井さんだったかしら?」
桜井「はい、水泳の補修ではいつもお世話になってます」ペコリ
塚原「ふふっ 気にしないで。そしてあなたは...?」
橘「あ、はい。えーと...」
橘 (しまった... 今の僕は女の子になってるんだった!!)
塚原「私のことを知ってるみたいだけど?」
桜井「あ、あの彼は、じゃなくて彼女は...」
塚原「彼?」
橘 (ま、まずい。ここは早く逃げないと!!)
橘「えっと助けていただいたところすみませんが、私達これで...」
???「響ちゃ~ん!!」タッタッタ
橘 (こ、この声は!!)
???「やっと見つけた~!! も~、どこに行ってたの!?」
塚原「ごめんなさい、はるか。知ってる子が困ってたみたいだから」
森島「知ってる子? あら、あなたは確か橘くんの幼馴染の...」
桜井「は、はい。桜井梨穂子です」
森島「そうそう、梨穂子ちゃん!! お菓子を食べてる姿がとってもキュートなのよね!!」
桜井「えへへ、そうですか?///」
橘 (...それは褒め言葉なのか?)
森島「それで、こちらの綺麗な女性はあなたのお友達なのかしら?」
桜井「あ、はい。えーと...」
森島「むむむ~? なんだか橘くんに似てるような...?」
塚原「やっぱりはるかもそう思う?」
森島「雰囲気というか、彼独自のカマッテ光線が出てるというか...」
塚原「カマッテ光線はどうかしらないけど、体格が同じだし顔に面影があるのよね」
橘 「そ、そんなまさか...」ドキドキ
桜井「そ、そうですよ~。そんなまさか~」ドキドキ
塚原「...っ!!」ピコーン
ID変わりました~
塚原「そうね、そんなはずないわね。橘くんは今日、七咲と一緒に新しい水着を買いに行ってるみたいだし」
桜井「ええ!? 純一、今日そんな約束してたの!?」
橘「な、七咲が僕と水着を買いに行ってる!?」
橘・桜井「...あ」
塚原「...理由を聞かせてもらいましょうか?」ニヤリ
森島「こら~!? 私だけ仲間外れは許さないわよ?」
橘 (なんかつい最近もこんなことがあった気がする...)
駅前商店街 ファミレス
塚原「なるほど。にわかには信じがたい話だけど、どうやら本当みたいね」
森島「わおっ!! じゃあやっぱり目の前にいる素敵な女性は橘くんなのね!?」
橘「...はい。そうです」
桜井「あはは、バレちゃったね...」
塚原「まさかこんなことが起きるなんて...」
森島「でも、凄いわね~。本当に綺麗!! 女の私から見てもびっくりだわ」
桜井「そうなんですよ~。純一ったらすごく綺麗になっちゃって...」
橘 (薫は...いないみたいだな。こんなとこ見つかったら大変だぞ)
桜井「一緒に歩いてる私が気が引けちゃって...」
森島「ええっ!? そんなことないわよ」
森島「桜井さんはとってもキュートよ!! 抱きしめたらとっても気持ちよさそうだしね♪」
桜井「だ、抱きしめる!?」
森島「なんていうのかしら、一緒にいると落ち着くっていうか...」
橘「あ、それはわかります」
桜井「じゅ、純一?」
橘「梨穂子はいつもニコニコと笑っているから一緒にいるとこっちまで笑顔になっちゃうんですよね」
橘「よく変な歌を歌ったり、ちょっと天然なところがあるけど...」
桜井「も~、そういうのは言わなくていいの!!」
橘「でも、そういうところが放っておけなくて」
桜井「純一...恥ずかしいよ///」
森島「わおっ!! 赤くなった桜井さんも可愛いわ~♪」ナデナデ
桜井「ふぇ、も、森島先輩!?」
森島「ふふふっ」
塚原「はるか、桜井さんが困ってるじゃない」
森島「あ、ごめんね? 私ったらつい...」
桜井「い、いえ!! いいんです///」
塚原「それにしても橘くんは桜井さんのことをよく見てるのね?」
橘「ええ、幼馴染ですから。梨穂子のことはなんでもわかりますよ」
森島「...っ!?」
塚原「幼馴染かぁ... はるかも七咲も大変ね」ボソッ
橘「え?」
塚原「いえ、こっちの話よ」
森島「むむむ~... 橘くん!!」
橘「は、はい!? 何ですか、森島先輩?」
森島「私はどんな女性だと思う?」
橘「え? えーと... 綺麗だと思いますよ?」
森島「そうじゃなくて!! もっとあるでしょ? 橘くんから見た私ってどういう女性なの!?」
塚原「あらあら」ニヤニヤ
桜井「も、森島先輩?」
橘 (急にそんなこと言われても... 気のせいか森島先輩が怒ってるような...?)
森島「ねぇ、どうなの!?」
橘「そ、そうですね...」
橘「一緒にいるとなんだか楽しいことが起こりそう、というか」
橘「びっくりすようなことをするけど、先輩と一緒だとそれがとても楽しくて」
橘「楽しんでいる先輩がとても素敵なので、見てるこっちがすごくドキドキします」
森島「わお...///」
桜井「う~...」グヌヌ
塚原「これはまたずいぶんストレートね...」
森島「も、もう!! またそういうこと言って!!///」
橘「で、でも先輩が言えって」
森島「そ、そんなドキドキするようなことを言うなんて思ってなかったんだから!!///」
塚原「落ち着きなさい、はるか 桜井さんもいるのよ?」
桜井「わ、私は別に...!!」
塚原「ふふっ ごめんなさいね? はるかがあなたに嫉妬しちゃったみたい」
森島「ひ、響ちゃん!!」
桜井「ええっ!! し、嫉妬?」
塚原「ええ。橘くんと一番距離が近いのは桜井さんかもね?」ニヤニヤ
桜井「じゅ、純一と一番近い... 私が...?」
森島「もう、響ちゃん!! そろそろ行くわよ!!」
塚原「ふふっ それじゃあね」
桜井「は、はい。お気を付けて~」
橘 (...なんだろう、この取り残された感じは)
帰り道
桜井「よかったね、元に戻って」
橘「一時はどうなるかと思ったよ。一応、男物の着替えを持ってきておいてよかった」
桜井「やっぱりあのホラーハウスじゃないと戻らないんだね」
橘「そうみたいだな。わざわざキビトランドに行ったかいがあった」
橘 (昨日は絢辻さんが行かせてくれなかったし...)
桜井「戻った時の純一の喜びようがおかしかったよ~」
橘「明日からまた学校だからな。これで戻らなかったら正直、休もうかと思ってたよ」
桜井「あはは、戻らなかったら純子ちゃんのままで来ればいいのに」
橘「おいおい、他人事だと思って...」
桜井「......」
橘「梨穂子?
桜井「ね、純一」
橘「どうした?」
桜井「森島先輩のこと...好きなの?」
橘「ええ!? どうしたんだ、急に?」
桜井「だって凄く先輩のこと褒めてたし、それに昨日だって絢辻さんと出かけるからメイクして欲しいって...」
橘「それは絢辻さんが急に...」
桜井「棚町さんとも仲がいいし... ねぇ、どうなの? 純一はだれが好きなの?」
橘「梨穂子...」
桜井「答えてよ...純一。でないと私、不安だよ」
桜井「皆、私より可愛いし素敵な娘達なんだもん...」
橘「...僕は」
桜井「......」
橘「僕はまだ、誰かを好きになる勇気がないんだ」
桜井「え?」
橘「梨穂子は覚えてるかな? おととしのクリスマスに僕が振られたって話」
桜井「うん、覚えてるよ。あんな悲しそうな顔をした純一、忘れるわけないよ...」
橘「それ以来、僕は恋愛することに臆病になってるんだ」
橘「僕を好きになってくれる人なんていないんじゃないか、僕はなんの価値もない人間なんじゃないかってね」
桜井「そんなこと...!!」
橘「ようやく思い出として振り返ることができるようになって」
橘「それで今年のクリスマスに向けて頑張って、たくさんの人と知り合い、そして仲良くなることができた」
橘「森島先輩、絢辻さん、薫、七咲、紗江ちゃん、そして梨穂子」
橘「皆、素敵で可愛くてとても魅力的な人達だ」
桜井「......」
橘「梨穂子も、とても素敵で可愛いと思うぞ? 他の子と同じくらいに」
桜井「そう、かな...?」
橘「そうだとも!! もっと自信をもっていいよ!!」
桜井「...うん、ありがとう。えへへ///」
橘「うん、やっぱり梨穂子は笑ってる方が可愛いな」
橘「...でも、僕はそんな梨穂子達に釣り合うか不安なんだよ」
橘「さっきも言った通り、皆、可愛くて素敵な人たちだ」
橘「でも、僕は... なんの取り柄もない」
橘「こんな僕が彼女たちと仲良くできてるのが、僕自身、不思議なくらいだ」
桜井「そんなことないよ!! 純一はいつだって優しくて、いざという時に頼りになって...」
橘「ありがとう、梨穂子」
橘「でも、自信がないんだ」
橘「だから僕が自分に自信を持って、胸を張って自分の気持ちを伝えられるようになるまで」
橘「誰かを好きになることが怖いんだよ」
桜井「じゃあ、私にもチャンスがあるの...?」
橘「ははっ、それは僕の台詞だよ。僕が自分の気持ちを伝えられるようになったときに」
橘「梨穂子に恋人がいなかったら、それは僕にもチャンスがあるってことだからさ」
桜井「そっか...///」
橘「だから僕は今、自分に自信を持てるような男になるために頑張ってるんだ」
橘「うかうかしてると、他の男に先を越されちゃうかもしれないからね」
桜井「...そっか。じゃあ、待ってるから、私」
桜井「純一が私のことを好きになってくれるように頑張りながら...」
桜井「そしてもし、私じゃない子を選んでも笑顔でお祝いしてあげられるように、ね」
橘「ありがとう、梨穂子」
桜井「えへへ///」
翌日 学校 教室
棚町「おっはよー、純一」
橘「おはよう、薫」
棚町「あ~、元に戻ってる!! なんだ、つまんないの~」
橘「お前なぁ...」
絢辻「おはよう。橘くん、棚町さん」
橘「おはよう、絢辻さん」
棚町「あら、おはよう。絢辻さん」
絢辻「元に戻ったのね、橘くん」
橘「うん、ほっとしたよ」
絢辻「ふふっ あのままでも可愛かったのに」
橘「あはは、勘弁してよ。絢辻さん」
絢辻「冗談よ。それで、水族館はいつにするの?」
棚町「...水族館?」ピクッ
絢辻「ええ、昨日橘くんとデートした時に約束したの。次は水族館ってね」
棚町「...純一、ちょっとこっち来なさい」ガタッ
橘「か、薫!?」
絢辻「あら、棚町さん。橘くんは今、私とデートの打ち合わせをするんだけど?」
棚町「ええ、返すわよ。私とのデートの打ち合わせが終わったらね」
絢辻・棚町「~~~っ!!」ゴゴゴゴゴ…
橘 (朝からすごい剣幕だな...)
ドタドタドタッ...
橘 (ん? なんだか廊下が騒がしいぞ...?)
ドタドタドタッ... ガラッ!!
七咲「先輩!! 塚原先輩から借りたこの写真の綺麗な女性が先輩って本当なんですか!?」
中多「あ、あの... 女の子になった先輩もすごく素敵です。お姉様って呼んでいいですか...?///」
桜井「ねぇ、純一~。クッキー焼いてきたんだけど...」
森島「橘くーん!! 今日の放課後にまた牛丼食べに行かない?」
キーンコーンカーンコーン...
高橋「はいはい、チャイムが鳴ったわよ。席について。森島さんたちも自分たちの教室に戻りなさい」
桜井・七咲・中多・森島「は~い...」
教室 HR終了後
梅原「よう、大将!! 朝っぱらから見せつけてくれるなぁ、この野郎!!」
橘「ははは...」
梅原「ちっくしょう!! 正直、羨ましいぜ...」
橘「おいおい、梅原には香苗さんがいるだろ?」ニヤリ
梅原「んなっ!? なんで知ってるんだ!?///」
橘「ははっ 僕の情報網を甘く見ないことだな」
橘 (本当は梨穂子に教えてもらったんだけど)
梅原「でもよ、俺もあんなにたくさんの女の子に好かれてみたいもんだぜ」
橘「ああ、皆には感謝してるよ。僕なんかにさ...」
梅原「おいおい、大将。自分を卑下するなよ?」
橘「わかってるよ。だから僕は自分に自信がもてるように頑張るのさ!!」
梅原「おお、その意気だぜ、大将!!」
橘「ああ!! よし、今日も頑張るか!!」
完
これにて終了です。途中、間が空いたり、最後が駆け足になってすみません...
アマガミが大好きなので機会があればまたSSを書いてみたいと思ってます。
最後までお付き合いいただいてありかとうございました。
GJです!!
女体化だから百合っぽくなると思ったら普通に恋愛するってのが凄くいい
アマガミらしさが出て面白かった!
お疲れ様です。
とっても面白かったよ~
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