矢部「いきなりどうしたでやんすか?」
パワプロ「いや、言葉通りだよ」
矢部「根っからの野球人間のパワプロくんにしては珍しいでやんすね」
パワプロ「そりゃ俺だって健全な高校男子だからさ、女の子と仲良くしたいよ」
矢部「うちの部にだって女の子が3人もいるじゃないでやんすか、それにみんな可愛いでやんすよ」
パワプロ「確かにそうだけど…ほら、彼女作ったりとかさ…」
矢部「あー、そういうザ・高校生みたいなことをしたかったのでやんすか?」
パワプロ「そうだよ!俺だって可愛い彼女とイチャイチャしたりしたいんだよ!」
矢部「パワプロくん、それは無理な話でやんす」
矢部「猪狩くんや友沢くんみたいなイケメンならともかくオイラやパワプロくんみたいなフツメンには縁遠い話でやんす」
矢部「恨むなら初期値でモテモテを引けなかった自分を恨むでやんすよ」
パワプロ「矢部くんは彼女とか欲しくないのかい?」
矢部「確かに…女の子の体には興味があるでやんすが彼女とかは面倒臭いでやんす」
矢部「そんなことよりガンダーロボのアニメとか見る方が有意義でやんす」
パワプロ「あはは、まあ矢部くんはそうだよね」
矢部「よーし、練習終わりでやんす!早く帰って撮り溜めしたアニメを見るでやんすよ!」シュタタタタ
聖「みずき、帰りにパワ堂に行こう」
みずき「あらいいわね。あ、あおい先輩も一緒に行きません?」
あおい「うーん、行きたいけど最近ちょっとお腹が…」
みずき「大丈夫ですって少しぐらい!」
聖「超過したカロリーは燃焼させれば良いだけだぞ」
あおい「じゃあボクも行こうかな。あ、パワプロくんも…
みずき「そうと決まればれっつご~!」
あおい「あ、ちょっとみずき待ってよ~」
パワプロ「…俺は誘ってもらえないみたいだな。…帰ろう」スタスタスタ
モブ女A「何あの人…」ヒソヒソ
パワプロ「うう…何か言われてるみたいだな…」
モブ女A「何でユニフォーム姿なんだろ。」クスクス
モブ女B「ダメよ、聞こえちゃうわよ」クスクス
パワプロ「…」
パワプロ「はあ…やっぱり俺には過ぎた願いなのかな…」トボトボ
??「へいらっしゃいらっしゃい!」
パワプロ「ん?何か売ってるのかな?」
彡(゚)(゚)「お、なんやニキ高校生かいな?安くしとくで?」
パワプロ「(なんだこの人…?というかそもそも人なのか…?)」
パワプロ「あの、これは何ですか?」
彡(゚)(゚)「これはラブダイナミックスや!」
パワプロ「ラブダイナミックス?」
彡(゚)(゚)「せや!これを首から下げとくとな、女の子にモテモテになるんや。ニキもてそうにないからどや?」
パワプロ「う~ん、本当なのかな?」
彡(゚)(゚)「ホンマやって!買うなら今やで!」
パワプロ「ちなみにおいくらなんですか?」
彡(゚)(゚)「3万3400円や!お買い得やろ!」
パワプロ「高っ!ちょっとそれは買えませんね…」
彡(゚)(゚)「しゃあないな、ここで会ったのも何かの縁や。ニキにだけ特別に9800円で売ったろ。他の人には内緒やで」
パワプロ「9800円か…これでモテモテになるなら…」
ゴホンゴホンッ
パワプロ「うーん、風邪かな?まあこれくらいなら今日の練習は大丈夫だろう」
パワプロ「それにしても昨日は結局変なノリで買ってしまったなコレ…一応つけてみたけど本当に効果あるのかな?」
矢部「おはようでやんす!お?なんでやんすかそのダサいネックレスは?」
パワプロ「やっぱりダサいのか…」
みずき「パワプロ先輩」
パワプロ「あ、みずきちゃん!なんか用かい?」
パワプロ「(どうせいつものようにパシられるんだろうなあ…)」
みずき「ストレッチ手伝ってよ」
パワプロ「あ、うん。わかったよ」
パワプロ「珍しいね、みずきちゃんからストレッチ誘ってくれるなんて」
みずき「別に良いでしょ、たまには。ほら背中押して」
グッグッ
パワプロ「(みずきちゃんの背中…柔らかいな…それに何だか良い匂いがする…)」
みずき「ふぅ、じゃあ交代ね」
パワプロ「あ、うん。じゃあ頼むよ」
みずき「」ギュッ
パワプロ「な!?み、みずきちゃんくっつきすぎだよ!」
みずき「しっかりとストレッチするにはこれくらい必要よ」
ギュッギュッ
パワプロ「みずきちゃん、その…背中に当たってるよ…」
みずき「当ててんのよ」
パワプロ「え!?ど、どういうことだい!?」
みずき「ふふ…」ギュッギュッ
パワプロ「(だめだ…ぷにゅぷにゅの感触が気持ち良くて頭が回らない…!)」
あおい「…」ジー
聖「む…みずき、もうストレッチは十分だろう」
みずき「いえ、まだよ」ギュッギュッ
聖「パワプロ先輩、打撃フォームを見て欲しいと言っていただろう。こっちに来るんだ」
パワプロ「そ、そうだね。じゃあみずきちゃんありがとね」
みずき「む~…」
パワプロ「(ふぅ…ちょっと残念だったかな?)」
聖「さあバットだ。しっかり見てやるからな」
パワプロ「うん、頼むよ。こんな感じなんだけど…」
聖「グリップの握り方が甘いな。もっとしっかり握るんだぞ」
パワプロ「こう?」
聖「もっと縦のラインを意識してみろ」
パワプロ「(む、難しいなあ…)」
パワプロ「こ、こうかな?」
聖「全然違うぞ。…こうだ」ニギッ
パワプロ「ちょっと聖ちゃん手!」
聖「む、口で言ってわからないなら体で教えるしかないだろう」
パワプロ「(女の子に手を握られるなんて幼稚園以来だよ…恥ずかしい…)」
聖「ほら、こんな感じで握ってみろ」ニギッ
パワプロ「う、うん//こ、こうかな?」
聖「うむ、なかなか良い感じだぞ。じゃあ次はスイングしてみろ」
パワプロ「うん」ブンッブンッ
聖「…全然ダメだな」
パワプロ「どこがだめかな?」
聖「もっと脇を…」ギュッ
パワプロ「ちょっと聖ちゃん!また…」
聖「パワプロ先輩は言葉じゃ理解しにくいようだからな。体で教えるまでだ」
パワプロ「(うう…後ろから抱きしめられてるみたいだよ…)」
聖「まずグリップはこう握るだろう?そして脇をもっと締めて…」ギュッ
パワプロ「(うう…全然集中出来ない…)」
あおい「…」ジー
みずき「ちょっと聖!そんなにくっつく必要ないでしょ!」
聖「む、それは違うぞみずき。パワプロは鈍感だからこれくらいしないと…」
みずき「ずるいわよ!さあパワプロ先輩、私と投球練習するわよ」
聖「だめだぞ。パワプロ先輩は今から私とリード研究をするんだ」
みずき「大体パワプロ先輩はキャッチャーじゃないからそんなの必要ないじゃない!」
聖「それを言うなら野手のパワプロ先輩とみずきは一緒に練習する必要がないぞ」
パワプロ「あのちょっと二人共ケンカは…」
みずき&聖「パワプロ先輩は黙ってて(ろ)!」
パワプロ「ど、どうしよう…」
ダイタイヒジリハネー!
ソレヲイウナラミズキコソ…
ギャーギャーギャー
パワプロ「お、おれランニング行ってくるよ!」シュタタタタ…
みずき&聖「あーあ…行っちゃった(ぞ)」
パワプロ「ふぅ…ふぅ…風邪気味なのに走り過ぎたかな?」
パワプロ「それにしてもこのネックレス…本当に効果があるみたいだな…」
あおい「パワプロくーん」
パワプロ「あ、あおいちゃん…(まさかあおいちゃんも…?)」
あおい「すごい汗だね、はいこれタオル」
パワプロ「ありがとう、助かるよ」フキフキ
あおい「パワプロくん…あんまり無理しちゃダメだよ?」
パワプロ「う、うん大丈夫だよ」
パワプロ「(そういえば体がフラフラするな…少し休もうか…)」
パワプロ「心配してくれてありがとうあおいちゃん。ちょっと休んでくるよ」
パワプロ「(ん?)」フラッ…
パタッ
あおい「パワプロくん!」
みずき「パワプロ先輩大丈夫ですか!?」
パワプロ「あ、ああ…ちょっと立ちくらみがしただけだよ」
みずき「保健室で休みましょうよ。私着いていきますから」
聖「いや、私がついていこう。みずきじゃ心配だからな」
みずき「ちょっとどういう意味よ!」
聖「そのままの意味だが?」
ギャーギャーギャー
パワプロ「ま、またか…」
パワプロ「大丈夫だよ二人共!ただの立ちくらみだから!」
パワプロ「ほら矢部くん!守備練習したいからノッカー頼むよ!」
矢部「了解でやんす」
あおい「パワプロくん…やっぱり休んだほうが…」
矢部「行くでやんすよ!」カキーン
パワプロ「ほっ」バシッ
矢部「もういっちょ」カキーン
パワプロ「はっ」バシッ
矢部「今度はこっちでやんす」カキーン
パワプロ「よいしょっ」バシッ
矢部「なかなかやるでやんすね。じゃあ次は…」
パワプロ「(う、まずい…また頭がクラクラしてきた…)」
カキーーン
パワプロ「…」ボー
矢部「パワプロくん!危ないでやんす!」
ドボォ!!
矢部「やばいでやんす!起き上がらないでやんす!」
あおい「矢部くん!AED取ってきて!」
矢部「ガッテン承知でやんす!」シュタタタタタタ
あおい「パワプロくん…!」ギュッ
シュタタタタタタ
矢部「取ってきたでやんす!でもオイラは使い方がわからないでやんす…」
あおい「ボクがやってみるよ!」
あおい「とりあえずスイッチを入れて…」
AED「よろしく二キーwwww」
AED「まずは患者の服を脱がすんやで。ほんで汗とかはタオルで拭いとくようにな」
あおい「まずは服を脱がせて…汗を拭いて…」
AED「次はこの二つのパッドを貼るんや。右胸と左脇やから間違えたらあかんで」
あおい「パッドを貼って…」ペタペタ
AED「ほんじゃ、電気ショックが必要かチェックするからちょっと待ちや」
ピッピッピッピッ
あおい「…」ドキドキ
AED「診断し終わったで。この患者に電気ショックは必要なしや。」
AED「まあただ気を失ってるだけやろうから心配せんとき。ほな、また…」
あおい「ふー…良かった」
矢部「さすがあおいちゃんでやんす」
あおい「矢部くん、パワプロくんを保健室に運んでくれるかな?」
矢部「了解でやんす!」
パワプロ「う…ううん…ここは?」
矢部「あ!起きたでやんす!」
あおい「本当!?良かった~」
パワプロ「…俺は?」
矢部「パワプロくん熱があったでやんすよ。それで打球が当たって気絶してしまったのでやんす」
矢部「あとこれ…打球が当たったみたいで壊れてしまったみたいでやんす。ごめんでやんす」
パワプロ「あ、ラブダイナミックス…ううん、別に良いよ。それより心配かけてごめんよ」
あおい「本当だよ!もし何かあったらどうするつもりだったのよ!」
パワプロ「ご…ごめんなさい…」
あおい「今日はもう家に帰って休むこと!わかった!?」
パワプロ「は、はい…」
パワプロ「じゃあみんな、お先に帰らせてもらうよ」
矢部「心配でやんすね。誰か送って行った方が良いんじゃないでやんすか?」
あおい「それならボクが…
みずき「大丈夫でしょ!家に帰るくらい。それに熱があるのに練習してたんだから自己責任よ」
聖「同感だな。そもそも風邪を引くなんて日頃の体調管理ができていないからだぞ。そもそもパワプロ先輩は…」クドクド
パワプロ「(うう…ラブダイナミックスが壊れたからか皆冷たいな…)」
パワプロ「だ、大丈夫だよ。一人で帰れるから…」
みずき「は~い、じゃあまた明日ね」
聖「しっかり休養して治すんだぞ」
矢部「気をつけるでやんすよ」
パワプロ「じゃあね…」トボトボ…
あおい「パワプロくん…」
パワプロ「ふー…家には帰れたものの、ベッドから起き上がるのも辛いや」
パワプロ「やっぱり無理するんじゃなかったな。ラブダイナミックスも壊れちゃったし今日は散々だよ…」
ピンポーン
パワプロ「ん?誰だろ?はーい」
ガチャ
パワプロ「あ、あおいちゃん!?」
あおい「こ、こんばんは…」
パワプロ「どうしたの家まで来るなんて!?」
あおい「熱は大丈夫かな~って…」
パワプロ「と、とにかく上がってよ」
パワプロ「…」
あおい「…」
パワプロ「(き、気まずい…)」
あおい「体はもう大丈夫?」
パワプロ「あ、うん、まあぼちぼちなかな?」
あおい「ご飯は食べた?」
パワプロ「用意する元気無くて…」
あおい「ダメじゃない!ちゃんと食べなきゃ!」
パワプロ「そ、そうだね…」
あおい「台所借りるね!」
ガチャガチャボウッグツグツ
あおい「はい、出来たよ」トンッ
パワプロ「おかゆだ…良い匂い…」
あおい「一応風邪薬も持ってきたから食後に飲んでね」
パワプロ「ありがとうあおいちゃん。それじゃあいただきまーす」パクー
パワプロ「(ん!?なんだこの強烈な苦味は…?それに妙な酸味と辛味もある…と、とりあえず飲み込まなきゃ…)」ゴクン
パワプロ「(後味はほのかに甘い…何だこれは…見た目はただのおかゆなのに…)」
パワプロ「(ま…不味い!!!)」
あおい「ど、どうかな?見よう見まねで作ってみたんだけど…」
パワプロ「う、うん美味しいよ」アセアセ
あおい「ほんと!?良かったぁ~」パァァァ
パワプロ「(俺にはこの笑顔を壊すことなんて出来ない!全部食べなきゃ!)」ガツガツ
パワプロ「ご…ごちそうさまでした」
あおい「うん!ご飯も食べたしお薬も飲んだし後はゆっくり休むだけだね」
パワプロ「(優しいなあおいちゃん…おかゆは激マズだったけど…)」
パワプロ「(やっぱりこのラブダイナミックス買ってよかったな…)」
パワプロ「(って待てよ!?ラブダイナミックスは壊れたんだった…)」
パワプロ「(じゃあどうしてあおいちゃんは…?)」
パワプロ「あおいちゃん…どうしてこんなに良くしてくれるんだい?」
あおい「えっとその…それは…」
パワプロ「今日はみんな優しくしてくれてたけどこれのおかげなんだ」コトリ
あおい「これは?」
パワプロ「ラブダイナミックス。信じられないかと思うけどこれを着けてると女の子にモテモテになるんだ」
パワプロ「だから今日はみんな俺に優しくしてくれてたんだよ」
パワプロ「みずきちゃんと聖ちゃんはすぐに効果が抜けたみたいだけど…あおいちゃんにはまだ効果が残ってるみたいだね」
あおい「…そうだったの」
パワプロ「ごめんよこんな心を操るようなことをして。さあ、わかったらあおいちゃんも早く家に帰ったほうがいい」
あおい「ボクは違うよ…」
パワプロ「え?」
あおい「パワプロくんのこと…好きだもん!」
パワプロ「だからそれはラブダイナミックスの効果が…」
あおい「そんなヘンテコなネックレス関係ない!ボクは…ずっとずっと前から…キミのこと好きだったよ…!」
パワプロ「あおいちゃん…」
あおい「だから今日もみずきや聖に負けないように頑張ろうと思ったけど…ダメだった…あはは」
パワプロ「…」
あおい「ねえパワプロくん…ボクじゃ…ダメかな?」
パワプロ「…こんなの必要なかったんだね」ゴミバコニポイー
あおい「パワプロくん…それじゃあ…」
パワプロ「あおいちゃん…俺でよければ彼女になってください」
あおい「うん!」
パワプロ「こんな嬉しいことが起こるなんて何だか夢みたいだよ」
あおい「ふふっ…パワプロくん今日はしっかり休むんだよ。その…ボクも一緒に寝てあげるから…///」
パワプロ「え…それって…」
あおい「もう!女の子に言わせないの!」
パワプロ「じゃあ、電気消すよ?」
あおい「うん…」
カチッ
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
弾道が上がった
逆境に強くなった
初球に強くなった
パワプロ「…」トコトコトコ
彡(゚)(゚)「お!昨日のニキやんけ!ラブダイナミックスはどうやった!?」
パワプロ「あ、昨日の…ええ、すごい効果でしたよ」
彡(゚)(゚)「せやろせやろ!ほな新商品もどうや!?」
パワプロ「新商品?」
彡(゚)(゚)「ジャーン!ラブスコープや!これを着けると女の子からの評価が一目瞭然やで!」
パワプロ「いえ、いらないです。僕には…もう必要ないですから…!」スタスタスタ
彡(゚)(゚)「お、おう、そうか。ほな、また…」
彡(゚)(゚)「なんや清々しい顔しよって…」
彡(゚)(゚)「しゃーない、ワイが着けたろ。どれどれ…」
女1(うわ…何か変な人…生物がこっち見てる…)
女2(なにあいつ…キモチワルイ)
女3(そんなキモい風貌で目の前に来るんじゃないわよ…)
女4(くっさ)
彡(゚)(゚)「…」
彡(^)(^)
終わり
>>45
なにわろとんねん
読んでくれた人ありがとやで
ちらほら書いてるからまた読んでみてクレメンス
ほな、また…