オーストリアの田舎 リンツ
(´・ω・`)(僕はアウグスト・クビツェク)
(´・ω・`)(家具職人の息子で父さんの手伝いをしているんだ)
(´-ω- `)(でも本当は子供の頃からやってる音楽の道に進みたいんだよなぁ…)
父「お疲れさん ほれ今月の給料だ」
(´・ω・`)「ありがとう」
父「またオペラを見に行くのか?」
(´・ω・`)「う、うん」
父「そうか…まぁ余った時間で何をするかはお前の自由だ」
劇場
(´・ω・`)(毎日、機械的に作業をする毎日)
(´・ω・`)(でも音楽家になりたいなんて口が裂けても言えない…)
(´・ω・`)(僕の人生、こんなのでいいのかなぁ…)
(´・ω・`)(楽しみと言えば貰ったお金でオペラを見に行く位…)
(´・ω・`)(ま、小遣い程度だから立ち見しかできないんだけどね)
(´・ω・`)(あの柱の下が秘密の特等席なんだよね)
彡※※※
(´・ω・`)(あちゃ、誰かに先を越されてる)
(´・ω・`)(仕方ない、こっちの壁にもたれて見るか)
(´・ω・`)(今日は「真夏の夜の夢」か)
(´^ω^`)(ああ~いい。いい! どんなに疲れていてもこれでぶっ飛ぶなぁ)
(´・ω・`)(本当に…芸術からは勇気を貰えるよ)
(´・ω・`)(あーでも柱が少し邪魔だなぁ)
(´・ω・`)(そういえば前もあの人に場所取られたような…?)
彡※※※
僕はこのライバルを観察した
彼はひときわ青白く華奢な青年だった
僕と同じように、目を輝かせて舞台に夢中になっていた
(´・ω・`)(いつもキチっとした身なりでどこか控え目)
(´・ω・`)(明らかに僕よりいいとこの家の子みたいだ)
ブー
(´・ω・`)(休憩だ… あーもう半分か ずっとこの時間を楽しんでいたいよ)
(´・ω・`)(んーでも今日の公演は音楽と演出はいいけど……)
彡※※※「歌手が微妙やな」
(´・ω・`) !
それが会話のきっかけだった
(´・ω・`)「そうそう! 歌手が台無しにしてるよね!」
彡※※※「せやせや! 初めはおっ!って思ったんやがなぁ」
これを切っ掛けに僕らは幕間、公演の不満点や評価する所について話すようになった
彼とは恐ろしく意見があい、お互い喜びを覚えた
僕は彼の飲み込みに驚かされた! 理解力の点では間違いなく僕より優れていた
初めに会話した日、1904年の11月。それ以来僕らの付き合いが続いた
そしてある公演の後、僕は彼と一緒に帰った。その時、わかり際に彼は自分の名前を名乗った。
彡(゜)(゜)
「アドルフ・ヒトラー」
学校
その単語が、僕の体験した、彼の最初の怒りの爆発だった
彡(゜)(゜)「ええかクビツェク 学校なんてなぁ、なまくら者を作る場所でしかないんや」
(´・ω・`)「アドルフは先生が嫌いなんだよね」
彡(゜)(゜)「当たり前や! そんな話より、今日の「魔弾の射手」について語ろうや」
(´・ω・`)「まぁまぁ、そうせっかちにならないで」
彼は僕の仕事を煩わしい傷害と思っていた
彡(゜)(゜)「また仕事かいな 」
(´・ω・`)「アドルフは何か仕事をしてないの」
彡()()「……」
(´・ω・`)??
彡(●)(●)「冗談やない!」
彡(゜)(゜)「ええわ!今日はトコトン付き合ったるで」
彡(゜)(゜)「クビツェク、お前の言っとる仕事ってのはな、一言で言えば」
彡(゜)(゜)「パンを得るための仕事や」
(´・ω・`)「えぇ…」
(´・ω・`)(きっと、アドルフは裕福な家の子なんだろうな)
(´・ω・`)(考えられる線としては…親の遺産? 学生?)
(´・ω・`)(うーん…だったら何で僕みたいな家具職人の子と友達に選んだんだろ)
(´・ω・`)「そういえば、僕も学校の成績は良くなかったなぁ」
彡(゜)(゜)「…勉強はちゃんとせなアカンで」
(´゜ω゜`)「えぇ!?」
(´・ω・`)(矛盾してるよアドルフ…君のことが全然解らないよ…)
(´・ω・`)(こんな風に大人しくて少し夢見がちな僕)
(´・ω・`)(こんなんだから相手の立場に感情移入できて順応性がある)
彡(゜)(゜)
(´・ω・`)(対して彼は極めて短気で激しい気性)
(´゜ω゜`)(さっきみたいに唐突に怒り狂うことがしばしば)
(´・ω・`)(こんな正反対な僕らは芸術という共通の趣味で繋がっている)
(´・ω・`)(はっきり言えば、僕が聞き役、受け手で彼が話す役)
(´-ω-`)(そして僕らはお互い、孤独だったんだ…)
(´・ω・`)(彼にとって、僕は只の聞き役、お供に過ぎなかったのかも)
(´・ω・`)(よく解らないけど、ただ一つ言えることは、僕は彼に必要とされていたんだと思う)
アウグスト・クビツェクでググるんやで
おそらくクビツェクの回顧録元に書いとるはず。
青年期ヒトラーの研究の資料としてはスタンダードやで。
ほえ~
ヒトラーを教科書程度にしか知らんワイにはめっちゃ勉強になるわ
ある日
彡(゜)(゜)「クビツェク、迎えにきたで~」
(´・ω・`)「うーん、ちょっと待って」
彡(゜)(゜)「はよしいや 始まってまうぞ」
(´・ω・`)「ごめんごめん、木屑の掃除が大変でさ」
産業の発展はそこそこ進んでいるものの、未だ田舎町というレッテルは外れない アドルフは人気の少ない道をよく使っていた
彡(゜)(゜)「クビツェク…ワイはいつかこの町から出ていくで」
(´・ω・`)「どこに行くの?」
彡(^)(^)「勿論ウィーンや!」
(´・ω・`)「羨ましいなぁ、僕m」
(●▲●)「ん? アドルフ! アドルフじゃないか!」
(´・ω・`)(ん…上品そうな人だな 僕らと同じ16歳位…アドルフの元同級生かな?)
(●▲●)「最近どうだい? 相変わらず痩せてるねぇ!」
彼はアドルフの上着を親しげに触って、語りかけた
(´・ω・`)(アドルフは礼儀ただしく接するんだろうな 劇場での時みたいに)
(´・ω・`)チラッ
彡()()
(´゜ω゜`)!!
僕は何度か経験済みだったので、アドルフ表情が次にどう変化するか予測できた
彡(●)(●)「そんなこと、おまえには関係ないやろ!」
彡(゜)(゜)「行くでクビツェク!」グイッ
(´・ω・`)「えっ、ちょ、いいの…?」
((●▲●))「あわわわわ」
(´-ω-`)(ああ…なんというか…御愁傷様…)
劇場前
彡(゜)(゜)「あいつは未来の木っ端役人や!」
(´・ω・`)「彼になにかされたの…?」
彡(゜)(゜)「ふん!」
彡(゜)(゜)「ワイは、あんなつまらない奴と一緒のクラスやったんや!」
彼が落ち着くのに、暫くかかった
それともう1つの出来事があった 僕のヴァイオリンの先生が亡くなった時の事だ
教会
彡(゜)(゜)「クビツェク、まぁ元気だしや」
(´;ω;`)「アドルフ…君も先生を弔いに来たんだね…」
彡(゜)(゜)「ん… まぁ… せや」
(´;ω;`)?
後になって訪ねてみると、やはり彼は先生を知らなかった
理由を問いただすと、
彡(゜)(゜)「お前が他の連中と一緒にいて、くっちゃべっていることに我慢ならなかったんや」
(´・ω・`)「そ、そう…」
実際、アドルフと知り合って以来、彼は僕の自由時間をやたら縛りたがっていた
つまるところ、僕達の友情のためには、役人気質をよく思わないでいることが是非とも必要だった
彡(゜)(゜)「役人? あんなもん地位をちらつかせて威張る奴よりも家具職人の方が立派なもんやで 気にすんなや」
(´・ω・`)(役人の子供なのに役人が嫌いなんて…何かあったのかな…)
(´・ω・`)「あのさ、アドルフは将来何になりたいの?」
彡(゜)(゜)「ん?んなもん芸術家に決まっとるやろ おまえと一緒や」
(´・ω・`)「あ……」
(´^ω^`)「うん、そうだよね! 僕も本当は家具職人なんかじゃなくて音楽家になりたいんだ!」
彡(゜)(゜)「今更何を言っとるんやお前は…変な奴やなぁ」
そういうわけで、僕は彼の友達になるために必要な条件を全て満たしていた訳だった
僕は彼の級友とも役人気質とも無縁で、ただひたすら芸術に明け暮れていた
(´・ω・`)(僕は音楽家になる! アドルフも芸術家になる!)
(´^ω^`)
お互いの性格は正反対、でも傾向は同じことで僕らは結びついた
アドルフは、自分の言いたいことをぶつけられる「ある人間」を群衆の中から見つけただけなのかもしれない
でも、ただ一つ言えることは劇場の出会いからウィーンでの貧乏生活の途中まで、アドルフにとって僕こそがその「ある人間」だったことは確かだ
がんばやで
楽しみで寝れんわ
ガチ屑前提の話やし忘れようとしても忘れんやろ
の方が重要 良スレ期待
クビツェクの家
(´・ω・`)「まぁ汚いけどゆっくりしていってよ」
彡(゜)(゜)「お邪魔しますやで~」
彡(゜)(゜)「って誰もおらんやんけ」
(´・ω・`)「ああ、母さんたちは写真館に行くってさ」
彡(゜)(゜)「ほーん…ワイは写真が嫌いや」
(´・ω・`)「でも学校とかでは撮らされたでしょ」
彡(>)(<)「あれは苦痛やったで~! なんであんな馬鹿共と雁首揃えた写真残さなならんねん」
彡(゜)(゜)「それにギジナジウムでの肖像画の授業! 組まされた奴が下手くそさといったらそら酷かったで」
彡(●)(●)「あいつに今度あったらあの絵燃やしたる!」
(´・ω・`)「そういえばアドルフは人物画を描かないね」
(´・ω・`)「風景画描いてるとこしか見たことないよ」
彡(゜)(゜)「ワイはいつかウィーンへ行くからな その前にここの風景をなるべく書き留めておくんや」
彡(゜)(゜)「この田舎町は橋やら街道やらはええがなぁ、建築物がアカンな!」
彡(>)(<)「昔ウィーンに行った時に見た劇場の外装といったらそら凄かったで~!」
(´・ω・`)(始まった)
彡(゜)(゜)「でもここは田舎や!そう豪華絢爛様式兼備な建物は作れん!」
彡(゜)(゜)「そこで田舎特有の自然や!なんといってもドナウ川の眺めやな!」
(´・ω・`)(くるぞ…)
彡(゜)(゜)「この川は、古きゲルマン伝説の一行がフン族の国に向かう際に使われたんや!」
彡(>)(<)「ブルグントの船団や!あ~!たまらん!」
彡(゜)(゜)「よっしゃ!これから遠足にいくで!」
(´・ω・`)「ええ!? そんな急に…今日は劇場行かないの?」
彡(゜)(゜)「予定変更や! 背広じゃ動けんから着替えて来るで!」
(´・ω・`)「お弁当作るから待ってて」
彡(゜)(゜)「んなもんいらんいらん パンと牛乳だけで十分や」
リンツの北 ミュールフィアテル
(´@ω@`)「ア、アドルフ、少しキツくない…?」
彡(゜)(@)「そ、そんなんじゃ屈強なゲンマンに、なれ、なれんで…ハッ…
彡(゜)(゜)「お、丘陵が見えたで! あそこからの眺めが最高なんや!」
ポツ…ボツ…
(´゜ω゜`)「あーあ降ってきたよ…」
彡(゜)(゜)「ここまで来たら引き返せん! それに山の天気は変わりやすいんや すぐ晴れるで」
(´・ω・`)(うーん、あんながりっポチな体でよく備えしないで山登りできるよ…)
彡(゜)(<)「ゲホッゲホッ」
(´・ω・`)(それに肺も弱いみたいだし…)
ザァー
(´゜ω゜`)「ああ…本格的に降ってきた…」
川(゜)(゜)「うーん、自慢の前髪がびしょ濡れや」
(´・ω・`)「アドルフは前髪いつも垂らしてるよね せっかくの大きい目が隠れて勿体ないよ」
川(゜)(゜)「せやろか」
彼の顔は、鼻筋が通っていて、すっきりした顔立ちだった
川(゜)(゜)「濡れた髪うっとおし杉ィ! オールバックにしたろ!」
額は広く、突き出ていて、その他鼻、口はわりと平凡 しかし
(´・ω・`)(なんて表現していいか解らないけど、アドルフほど大きい目をした人は見たことないよ)
(●)(●)「お、視界良好やんけ」
(´・ω・`)「オールバックは禿げるよ」
()()「ファ!?、アカンやんけ…ワイの家系は禿げ遺伝子もっとるんや…」
数十分後
(´@ω@`)「ヒイ、ヒイ…」
川(゜)(゜)「ハッ…ハッ……」
(´・ω・`)「あ…」川(゜)(゜)
(´・ω・`)「や、やっと……」
川(゜)(゜)「頂上や!」
これでよく見たらやきう民の顔がちょっと違うのに今ごろ気づいたわ、ちょっと目が大きいんやな
雨雲はいつの間にか消え、町の反対側までが一望できた
彡(゜)(゜)「お! リヒテンハーク城が見えるやんけ! スケッチしたろ!」
(´・ω・`)「よくそんなに体力あるね…体は僕より貧弱なのに…」
彡(゜)(゜)「ワイは毎日歩いとるからな ウォーキングはワイのスポーツや」
彡(゜)(゜)「お、見ろやクビツェク ゲオルゲン村も見えよる 農民戦争時代の遺物探しに今度行ってみるやで」
(´・ω・`)「えー…今更そんなの残ってないでしょ」
彡(゜)(゜)「一度行けば解るで かつての偉大な闘いの遠い記憶が生き生きと残っとる」
この日改めて解ったことは、彼はこのように異常なまでの真剣さを持っていたことだ たとえそれがどんな分野でも 単なる遊びにでも
クビツェク家前
(´・ω・`)「あーやっと着いた…もうクタクタだよ」
彡(゜)(゜)「じゃあま」
クビツェク母「あらクビツェクどうしたのその格好」
(´・ω・`)「あ、お母さん 写真館から帰ったんだね」
(´・ω・`)「あ、それからこちらは僕の友達d」
彡(゜)(゜)「私はアドルフ・ヒトラーと申します。いつもクビツェクさんとは楽しく過ごさせています」
(´・ω・`)(うーん、劇場モード それともこっちが素なのかな…?)
クビツェク母「これはご丁寧に」
彡(^)(^)「いや~、まだまだお若いですなぁ!今日写真館の方もきっとよいお仕事をなされたに違いない!」
クビツェク母「あらお上手!」
「生真面目な男」 それがアドルフと短い時間関わった人間が持つ彼の印象だ
彡(゜)(゜)「それでは私はこの辺で。 じゃあまた、クビツェク」
(´・ω・`)「うん、また来週」
彼はキチッとした動作で帰路へたった
クビツェク母「おまえの友達はなんて目をしているのでしょう!」
母の言葉には、称賛よりも驚嘆がこもっていた
少年時代のヒトラーの非凡性は、どこに顕著に表れていたか?
それは目に!
彼の低くよく響く声よりも、目に比べればそれは大したことはない
続きゆっくり待ってる
(´・ω・`)(最近、僕はあることを調べている)
(´・ω・`)(アドルフの家族のこどだ)
(´・ω・`)(アドルフのお父さんは既に他界していた)
(´・ω・`)(前にその事についてかまをかけてみたことがある)
(´・ω・`)「それでさ、僕のお父さんは僕を家具職人にしたいと思っているんだよ どう思う?」
彡(゜)(゜)「父親ってのは子を縛りつけたがるもんや ワイの親父もワイを役人にさせようと必死だったんや」
(´・ω・`)「へえ」
彡(゜)(゜)「全く、こっちはいい迷惑やで」
彡(゜)(゜)「あいつの仕事のせいでワイはオーストリア中を引っ越して回ったんや 一時期バイエルンにいれた時だけはその事に感謝しとるがな」
彡(゜)(゜)「税関だかなんだか知らんがワイやマッマにいつも高圧的にかかってきよる」
彡(゜)(゜)「学校にいた時は成績やらなんやらでよく殴られたもんやで」
彡(゜)(゜)「死んでせいせいしたわ!」
(´・ω・`)「そ、そうなんだ…」
(´・ω・`)「ねぇ、今度アドルフの家に行っていい?」
彡(゜)(゜)「ん? 別に構へんで」
ヒトラー家
(´・ω・`)「お邪魔します」
彡(゜)(゜)「マッマ、こいつはワイの同志、クビツェクや」
(*^◯^*)「アドルフが友達を連れてくるなんて珍しいんだ!」
(´・ω・`)「こ、こんにちは」
(´゜ω゜`)(おお…この目の大きさ…眼光…アドルフとそっくりだ!)
(´・ω・`)(どうやら、アドルフは母親似で生まれてきたみたいだ)
(´・ω・`)(でも、内面は父親似…これはアドルフに言えないけど…)
(´・ω・`)(アドルフのお母さんは聞いていた通りで明るい人だ)
(´・ω・`)(失礼かもしれないけど、家は僕の予想よりアレだな 小綺麗なアパートの4階… 質素な内装)
彡(゜)(゜)「こっちがワイの部屋やで ついてこいや」ギシギシ
(´・ω・`)「あ、この写真って……」
手入れの行き届いたカイゼル髭が少し怒ったような顔つき 印象的ないかにも役人顔
十中八九、写真に映っているのはアドルフの父だろう
彡(゜)(゜)「今日はチビがいないから特別や 一度興奮し始めたら五月蝿くて敵わんからな」
(´・ω・`)「ああ、確か9歳の妹さんだよね」
(´・ω・`)「アドルフの兄弟って妹さんだけ?」
彡(゜)(<)「うーん、いるにはアッネがいるんやが……」
彼にはアンゲラという一応の姉がいた なんでも父アロイス・ヒトラーの前妻の娘らしい つまりは腹違いということになる
彡(>)(<)「そのアッネと結婚したラウバルって奴がエライ腹立つんじゃ」
彡(゜)(゜)「あいつは飲み屋に入り浸って酒、煙草、博打をやるクズや!」
彡(●)(●)「そしてワイを見下す役人や!」
(´・ω・`)「あ~(君からしたら)役満だね」
彡(●)(●)「更にムカつくことに、あいつはワイを役人にしようとあれこれ口煩く言ってくるんや!」
彡(゜)(゜)「ホンマ腹立つで!」
(´・ω・`)(あー、だからアンゲラさんはヒトラー家に滅多にいないんだ 主にアドルフの怒りが原因で)
キャ…キャ…
彡(゜)(゜)「チビが帰ってきよった! 裏口から逃げるでクビツェク!」
(´・ω・`)「ちょ、待ってよ」
ヒトラー家の家庭事情は色々複雑みたいだけど、僕はアドルフが母を愛してることだけは理解できた
(´・ω・`)「あーあ、オペラが始まるまでアドルフの家で時間を潰す予定だったのに…」
彡(゜)(゜)「すまんな しゃあないからラント通りでも歩こか」
(´・ω・`)「はぁ、そうしようか……ん?」
僕らの歩く前方から長身でスラリとしたブロンドの娘が母親らしき人物と歩いていた
(´゜ω゜`)「うわぁ…綺麗な人だなぁ…引っ越してきたのかな? きっと良家の出自で仕事の都合でこんな田舎に来たんだろうなぁ」
(´・ω・`)「アドルフはどう思う?」チラッ
彡(・)(・)
(´・ω・`)「え?」
彡( ゜)( ゜)
(´・ω・`)(ど、瞳孔が開いてる…只でさえ大きい目が更に大きくなってる…)
(´・ω・`)「ね、ねぇ、アドルフ彼女はもう行ったよ…早く元に戻ってよ…」
彡(゜)(゜)「クビツェク、ワイは彼女を愛してるしまったようや」
(´・ω・`)「うん、だろうね お陰で今日買ったオペラのチケットが無駄になったよ」
彡(゜)(゜)「調べるで」
(´・ω・`)「え?」
彡(●)(●)「名前!住所!職業!家族構成!全部調べるで!!」
(´・ω・`)(もうこうなったら止まらないな…)
(´■ω■`)(あれから3日僕は彼女について聞き出すことに成功した)
(´■ω■`)「名前はステファニー 住所はウアファール地区3番地34号 母は未亡人 ウィーンで法律を学んでいる」
彡(゜)(゜)「ほう…して…恋人関係はどや…?」
(´゜ω゜`)「それが…青年士官と…」
彡()()プチッ
彡(●)(●)「かあああああ~!~!~!」
彡()()「あんな見栄っ張りの空っぽ人間どもと…糞…糞……ああ~!!」
彡(゜)(゜)「あ…あ…」
(´゜ω゜`)「ま、まぁ、こんなこともあるって…残念だけど…」
彡(゜)(゜)「いや! ワイは諦めんで!」
彡(゜)(゜)「クビツェク! 今日もラント通りを散歩するで!」
(´・ω・`)「昨日も一昨日も行ったじゃないか…」
彡(゜)(゜)「いいや!今日こそ会えるで!ワイの目力をもってすれば彼女はワイに気づいてくれる筈や!」
(´・ω・`)「僕はそういう意味で君の目を誉めたんじゃないんだけど…あ…」
(´゜ω゜`)(か、彼女だ…! 遂に来た…!)
彡()()「よっしゃ!行くで!」
ステファニー「……」スタスタ
彡(◯)(◯) (大丈夫…! きっと気づいてくれる)
( ・`ω・’)キリッ
ステファニー「…………」ニコッ
彡()()
(´゜ω゜`)
彡(゜)(゜)「やったやで…!気づいてくれた…! やっぱり前からワイのこと気にかけとったんや…!」
(´・ω・`)「う~ん、只目が合ったから愛想よくしただけだと思うんだけど…」
彡(゜)(゜)「いいや、ワイには解るで 直感でわかる…! 向こうもそう思っとる筈や!」
彡(゜)(゜)「クビツェク!ワイは次にどうすべきや!?」
(´・ω・`)「う~ん、まぁ普通ならご両親と会ったりするんじゃない?」
彡()()「そ、それはちょっと早いやろ やっぱもう暫くの間愛を育むで!」
(´・ω・`)「もう好きにしなよ…」
それから彼は彼なりの愛を表現するべく努力した
時には愛の詩を書き、僕の前で朗読したりした
また時には将来設計について真剣に悩んでいたりもした
(´・ω・`)「僕の調べた情報によるとね、彼女はダンスが好きらしいよ」
彡(゜)(゜)「ダ、ダンス…!?」
(´・ω・`)「これを気にやってみたら? 上流階級の人間にとってダンスは必修科目だよ」
彡(゜)(゜)「いやっ、ダンスなんて無意味で無価値で…とにかく駄目や!」
彡(゜)(゜)「想像してみいや!仮に音楽切った上でなされるダンスパーティーを! あいつらが気が狂ってるってわかるで!」
(´・ω・`)「そんなこといっても仕方ないよアドルフ 彼女はダンスが好きなんだから」
彡(●)(●)「駄目や駄目や!断じて駄目や!彼女は周囲に付き合わされて無理やりやらされてるだけなんや!」
彡(゜)(゜)「許さへんで士官どもめ…!ワイがステファニーと結婚したらこんな思いさせんですむようにしたる!」
それから彼はダンスのことばかり考えるようになった 家でもずっとそうらしい
(*^◯^*#)「アドルフが毎晩ピアノでワルツを弾いてて五月蝿いんだ!なんとかしてほしいんだ!」
(´・ω・`)「暫くほっときましょう」
二週間後
彡(゜)(゜)「クビツェク、ワイは決めたで」
(´・ω・`)「やっと諦める気になったんだね」
彡(゜)(゜)「んな訳ないやろ ワイは…ワイは…」
彡(●)(●)「彼女と駆け落ちするで…!」
(´゜ω゜`)「誘拐!?」
彼は極めて詳細に誘拐計画を練っていた 僕の役割も決まっていた
僕が母と話して気を引いている隙に彼が娘を強奪するというのだ
(´・ω・`)「その後、君たち二人さどこで暮らすんだい?」
彡()()「う……」
僕の質問で彼の頭を冷やすことはできた
状況は悪くなっていった
たまたま彼女の機嫌が悪い時に彼女に視線を送った結果、彼女は明らかに煙たそうにそっぽを向いた
彡()()「ファ!?」
この行為はアドルフを絶望の淵へと追いやった
彡(゜)(゜)「もう耐えられへん! 終わりにするで!」
彡(゜)(゜)「橋からドナウ川に飛び込んだる 勿論、ステファニーも一緒に死ななアカン」
(´゜ω゜`)「アドルフ…」
彡(●)(●)
ここ三週間、彼の頭にはその計画しかなかったようで、僕は恐る恐るそれを見守るしかできなかった
巻き添え食らうステファニーは可哀想だけど。
1906年6月
その日は花馬車行列という催しが行われ、僕とアドルフも教会の前でそれを見ていた
(´・ω・`)「前に君が言ってた通り、自然も芸術の一つに違いないね 花と連隊の音楽がよくマッチしてる」
彡(●)(●)「せやな…」
(´・ω・`)「あっ、花の投げ入れが始まったよ! 君の妹さん位の娘もいるね」
彡(●)(●)「せやな…」
(´゜ω゜`)「あっ……見てアドルフ! ステファニーだよ! ステファニーが花馬車から降りてきたよ」
彡(゜)(●)「ファ!? ほ、ホンマや!!」
その時のステファニーは赤いヒナゲシ、白いマーガレットに囲まれて最高に魅力的だった
そのうち馬車が僕達の目の前にやって来た その時、ステファニーの明るい眼差しがアドルフに注がれた
彡(゜)(゜)「」
彼女はお祭り気分にふさわしく無邪気に微笑みかけ、花束から花を一本抜いてアドルフに投げた
(´・ω・`)チラッ
(´゜ω゜`)!!!
その時ほど、幸せそうなアドルフの顔を僕は見たことがない
祭り後
彡(;)(;)「やっぱり……やっぱりそうだったんや! 彼女はワイに気があるんや」
(´;ω;`)「うん…うん…気があるかどうかはともかく良かったねアドルフ…」
クビツェクくっそ不憫
若きアドルフは市民社会を何よりも嫌っていたが、好きな人と接する際には誰よりもその社会のルールを厳守した
彡(-)(-)「結局、ワイは未だに自己紹介すらできておらん…」
逆に考えれば、ルールを守ることにより一つの事実から自らを守っていたのかもしれない
彡(゜)(゜)「ワイの片思い…なんやろか…」
結局、長期に渡る状況の無変化とウィーンへの移転という時間的にも空間的にも疎遠となった二人の関係は風化するに至った
彡(゜)(゜)「ワイの努力は全部無駄やったんやろか…ワイが考えた二人で暮らす家も…理想も…」
(´・ω・`)「女の人は逃げても芸術は逃げないよ、アドルフ それはいつだって僕らの手の中さ」
彡(-)(-)「せやな…」
しかし、一つだけその夢は叶う その場にステファニーはいなかったが、後にその夢の家はオーバーザルツベルクで実現した
なんにせよ、ステファニーは彼の生涯で最も美しく純粋で豊かな夢だったことは確かだ
おつやで。またな。
「女の人は逃げても芸術は逃げないよ、アドルフ それはいつだって僕らの手の中さ」
ぐう名言
どっかで引用したい
若きアドルフは市民社会を何よりも嫌っていたが、好きな人と接する際には誰よりもその社会のルールを厳守した
なんかこの文面が凄く響くわ
彡(゜)(゜)「お前はそれについて全く理解しておらん!」
彡(゜)(゜)「それについてお前に話すことはできん!」
彡(゜)(゜)「政治に関してはクビツェク、お前はマヌケやな!」
彡(゜)(゜)「全く、マッマといいお前といい皆政治に無関心過ぎるで!」
(´・ω・`)(僕達の友情にとって政治はいつも難点だった)
(´・ω・`)(僕は政治のことで自分の意見を全ど持たなかった)
(´・ω・`)(そんな僕を、彼は「ヒトラー教」に改宗させたがっていた)
(´・ω・`)(つまり、この若き民族主義者と同じ意見をもって欲しかったんだ 芸術についての考えと同じように)
彡()()「全く、政治に興味がないなんてしんじられんなぁ。情熱が足らんのか?」
彡(゜)(゜)「だったらワイが政治というものを教えたるで! よし、今日は国会議事堂に行くで!」
(´・ω・`)「ええ~。僕帰ってピアノの練習したいんだけど…」
彡(゜)(゜)「このままお前を野放しにしてたら将来どうなるかわからん! ええからついてこいや!」
(´・ω・`)「おばさん、アドルフはなんで政治に興味を?」
(*^◯^*)「亡くなったお父さんも政治談義が好きだったんだ!」
(*^◯^*)「いつも居酒屋でゲルマン人についてやらオーストリアの多民族性についてやら話して煙たがられてたそうなんだ!」
(*^◯^*)「でもそれをアドルフに直接言ってる所は見たことがないんだ! きっと似た者同士だったなんだ!」
(*^◯^*)「ま、最近の若者はみんな自分をドイツ人だと思いたいみたいなんだ! アドルフもそんなニュアンスのことを言ってたんだ」
(*^◯^*)「クビツェク君みたい歳でノンポリはむしろ少数派なんだ!だからアドルフもほっとけばじきになおると思うん!」
(´・ω・`)「うーん、そうでしょうか」
(´・ω・`)「でさ、最近ヴィオラの先生に言われたんだけど、音楽の時代はイタリアに移り変わってるらしいよ」
彡(゜)(゜)「イタリアぁ~? イタリアはないで」
(´・ω・`)「ホントドイツ以外の外国に興味がないんだねアドルフは」
彡(゜)(゜)「ワイは死ぬまでドイツ帝国人やからな! 芸術的才能もドイツの為に使うで」
(´・ω・`)「へー、僕は楽器が弾ければどこだっていいや ピアノの先生にこう言ったらユダヤ人みたいだなって言われちゃったよ」
(´・ω・`)「ユダヤ人って言われても僕はあんまりピンと明るいこないんだけど、アドルフはどう思う?」
彡(゜)(゜)「ワイは別になんとも思ってへんで」
(´・ω・`)「あ、そうなんだ」
彡(゜)(゜)「そういえば学校の教師がユダヤ人についてあれこれ言っとったなぁ ワイは寝てたんやけど」
彡(゜)(゜)「ま、不満があるとすればベツレヘム通りのシナゴーグやな あれはリンツにいらん」
この頃、アドルフはそれほど反ユダヤ主義者ではなかった
彡(゜)(゜)「おっ、国会やんけ! チェコ人は消えろや!」
(´・ω・`)「ちょ…」
結局、彼は民族主義者だった 彼は愛した民族のために無条件で献身的に打ち込んだ
彼はただこの民族の中にだけ生きており、他の事は何も知ろうとしなかった
若くして民族主義者って言うならユダヤも閣下時代レベルで嫌ってるかと思った
彡(゜)(゜)「あれ、今日やっとらんやんけ!」
(´・ω・`)「ホッ…じゃ帰ろうか」
彡(゜)(゜)「チッ…しゃあないな…ん!?」
(´・ω・`)「今度はなんだよもう…」
彡(゜)(゜)「おっ、宝くじやんけ! 買ったろ!」
彡(゜)(゜)「あら…金がないやんけ…クビツェク!お前半分出せや!」
(´・ω・`)「ええ~! 只でさえ小遣い少ないのに…」
彡(^)(^)「当たった金でワイらが民族記念館の改修するで! クゥ~! 夢が広がってきたで!」
(´・ω・`)「国営宝くじなんて初めて買ったよ」
彡(゜)(゜)「邸宅も作るで! 二階にワイのアトリエを作って地下にはクビツェクの音楽室や!」
(´^ω^`)「あっ…いいねぇそれ」
金貸しやからな。
調子が悪くなったら貸し渋りする挙句、英仏米にすりより始めたんだろ
(´・ω・`)(当選発表までの期間は、僕達の友情にとっては最も美しい一時だった)
(´・ω・`)(愛、熱狂、偉大な考え、大胆なアイデア、僕達には何でもあった)
(´・ω・`)(ただこれまでは、お金がなかった それが手に入るなら、もう他に何を望むというのだろう)
彡(゜)(゜)「うーんこの邸宅の案はええが費用がかかり過ぎるで」
(´・ω・`)「確かに、これでお金を使いきったらいつものみすぼらしい服で豪邸に住むことになるね」
彡(゜)(゜)「せや! 借家のワンフロアを貸しきって改造するのはどうや!?」
(´・ω・`)「あっ、それ名案だね!」
彡(^)(^)「よっしゃ、場所決めに行くで!」
(´^ω^`)「行こう行こう!」
ーーーーー
(´・ω・`)「うーんこの辺りは周りが家ばかりだね」
彡(゜)(゜)「次や次!」
ーーーーー
(´・ω・`)「ここいいんじゃない? 程よく町を見渡せるよ!」
彡(゜)(゜)「……」
(´・ω・`)「あっ……(察し)」
(´・ω・`)(近所に学校があった…)
(´・ω・`)「ここは学校の通学路があるから芸術活動に支障が生じるね」
彡(゜)(゜)「せやな」
(´・ω・`)「結局…たどり着いたのは…」
彡(゜)(゜)「ここか」
ウアファール地区キルヒェン通り4番にあった33号室
(´・ω・`)「いい場所だね ドナウ川の近郊にこんな家があったなんて」
彡(゜)(゜)「反対側はミュールフィアケル地域の緑の丘陵…ペストリンクベルの眺め…」
彡(^)(^)「最高や!ここに決定やな!」
彡(゜)(゜)「早速忍び込むで!」
(´゜ω゜`)「忍び込むなら最も静かにね…」
彡(゜)(゜)「はえ~!予想以上の眺めや」
(´・ω・`)「うわぁー壁も厚いからピアノ位大丈夫そうだ」
彡(゜)(゜)「早速平面図づくりや!」
彡(゜)(゜)「おっ!ここのフロアにワイの作図机置くで!」
(´・ω・`)「じゃあ僕はこっちの狭い方で こっちの方が音響よさそう」
彡(゜)(゜)「カーテンとその飾りは任せるで! ワイは設置する家具や!」
(´・ω・`)「伊達に家具職人見習いやってないからね、張り切らせて貰うよ!」
(´・ω・`)(僕達は夢中になって作業した)
(´・ω・`)(一等賞の宝くじに当選することを僕達は疑わなかった)
(´・ω・`)(アドルフのおかげで、僕も当選への無条件の確信に目が眩んでもうすぐキルヒェン通りに引っ越す予定でいた)
(´・ω・`)「できた どうだいアドルフ」
彡(゜)(゜)「おお、ええな! 堅実で妥当や! よっ、大将!」
(´・ω・`)「僕は宝くじが当たったら家の手伝いをやめるよ! 音楽の仕事に全力を注ぐんだ」
彡(゜)(゜)「せやな!やめて止めてまえ止めてまえ」
彡(゜)(゜)「たまにウィーンへ行くで! んで劇場に行ったり講義を聴いたりするで!」
彡(゜)(゜)「でも生活スタイルは今と同じや! 上品かつ堅実にいくで! 家政はどっかのバッバでも雇うで」
しかし、そう上手くはいかないものだ
当選日
父「クビツェク、椅子の脚をとっておくれ」
(´・ω・`)「はい父さん」
ガラガラ
父さん「ん、だれだ? 納品日は明後日の筈だが…」
彡(。)(●)「クゥー! ク、ク、クビツェクーーー!!!」
(´゜ω゜`)「ア、アドルフ!!?」
アドルフの手には紙切れとなったくじが握られていた
彡(●)(●)「ンゴォォォォォォォォ!!!!」
彡(。)(●)「人間の騙されやすさにつけ込む国家主導の投機!」
(´;ω;`)(ああ…そうか駄目だったんだね…)
彡()()「善良な市民を食い物にする公然の詐欺!!!」
彡(●)(●)「10!?いや20!?民族の寄せ集めの糞国家が~~!!~~!!」
実際には、二人の哀れな若者がなけなしの金を騙しとられた、というだけの話だった
彡(●)(●)「ハプスブルク家の婚姻政策から生まれた怪物!!」
アドルフは、自分に非がある、などとは思いもしなかった。一等を得るのは当然の欲求である、と思っていた
こんな青春送ってたら、きっと将来は立派な聖人になるんやろうなぁ
(´・ω・`)(アドルフは、国営宝くじなどの国家組織を騙されやすさ当てにするよりも自分自身とその将来を信頼するほうが賢明だと思うようになった)
彡()()「くそ…オーストリアなんて信じたワイが馬鹿だったんや…」
彡()()「はえ~つっかえ~ くそ、気分直しに橋のスケッチにでもいくでクビツェク!」
(´・ω・`)「うん、付き合うよ」
父「なんだこいつ…」
(´・ω・`)(それから、彼は橋を好むようになった)
(´・ω・`)(ドナウ川を流れる水の上には、何か自由で前に進みたくなる雰囲気があった)
まるで自分がそうでありたいと思うように、自らの国を嫌うこの若き民族主義者は熱心に橋をスケッチしていた
(´・ω・`)(1906年の5月から6月にかけて、アドルフはウィーンに滞在していた)
(´・ω・`)(もう言うまでもないけど、アドルフは慣れ親しんではいるけど小市民的なリンツに限界を感じていた)
父「おーいクビツェク、ヒトラー君から絵葉書が届いているぞ」
(´・ω・`)「え、ほんと!?」
『この絵葉書を送るが、ずっと便りを出さなかったことをすまないと思っている。僕はとても元気で、今はあちこちを見て回っている。明日はトリスタンを見に行き、明後日はさまよえるオランダ人という具合だ』
(´・ω・`)「ふむふむ 楽しそうだなぁ」
『全てがとても素晴らしいのだが、僕はもうリンツが恋しい。今日は市立劇場に行く 尊敬するご両親によろしく』
『アドルフ・ヒトラー』
彡(゜)(<)
(・`ω・‘)「んん… きっとこの『リンツ』っていうのはそのままの意味じゃなくて…」
(´-ω-`)「きっと『ステファニー』のことなんだろうなぁ…全くもう」
同じ日の1906年5月に、アドルフは二枚目の絵葉書を出していた
『建物の内部に感動はしない。建物の外面の力強い威厳が芸術の記念碑的厳粛さを建物に及ぼすのであり、内部ではその威厳よりも感嘆を覚える』
彡(`)(´)キリッ
『力強い音の波が室内をうねり、風のざわめきが波打つ音のすごい洪水に消え失せるときにこそ、崇高さを感じ、内装を飾る金やビロードのことはわすれてしまう』
彡(-)(-)
『尊敬するご両親に宜しく』
『アドルフ・ヒトラー』
リンツ駅
(´・ω・`)「おかえり、アドルフ」
彡(^)(^)「おおクビツェク! なんか久しぶりに感じるで!」
彡(;)(;)「ホンマによかったでぇーウィーンは! 流石ステファニーを生んだ町や! あそこの建築を見て音楽を聞けばワイも都会人や!」
(´・ω・`)「絵葉書からも十分にその素晴らしさが伝わったよ」
彡(゜)(゜)「クビツェク…ワイは決心したで…」
(´・ω・`)「ああ…やっぱり…」
彡(゜)(゜)「ワイは…ウィーンへ行くで」
ヒトラー家
彡(゜)(゜)「マッマ! ワイはウィーンへ行くで!」
(*^◯^*)「駄目なんだ!」
彡(゜)(゜)「なんでや! 費用はワイが親父から相続した分を使うんやからええやろ!」
(*^◯^*)「そういう頑固なところがお父さんそっくりなんだ!」
(*^◯^*)「それに、知り合いの農夫さんに職の斡旋をたのんでいるんだ!」
彡(゜)(゜)「ファ!?聞いてへんでそんなこと!」
(*^◯^*)「言ったら反対するから黙っていたんだ!」
(*^◯^*)「アドルフ、二年前に実科学校を止めて以来お前はずっとブラブラしていたんだ!」
彡(。)(゜)「ぶっ、ブラブラぁ!? それは聞き捨てならんで! ワイはいつも芸術家になるため努力しとったんや!」
(*^◯^*)「はっきり言うんだ! 芸術家なんて不安定で軽率なものなんだ!」
外
(´゜ω゜`)「す、すごい剣幕で言い争ってる クララおばさんのこんな声聞いたことないよ…」
彡(゜)(゜)「何を言っとんじゃ! ワイはちゃんと大学にいって勉強するんや! 学校やぞ学校!! どや!? 学生なら世間体も悪くないやろ!?」
(*^◯^*)「ぐぐ…でもクビツェク君みたいに音楽ならともかく絵なんて…」
(*^◯^*)「それに、ラウバルだって反対だって言ってたんだ! 気違いの沙汰だって言ってたんだ!」
彡(●)(●)「あんな小役人風情に芸術の何がわかるんや!! そうか、あいつがマッマに何か吹き込んだんやな!?」
(´゜ω゜`)「僕の出る幕は無さそうだ…今日のところは帰ろう…」
あくる日 クビツェク家
(´・ω・`)「このマットレス、ずいぶん注文が込んでるね…! ぐぐ…」
父「ああ…今日いっぱいはかかるな…」
彡(゜)(゜)「クビツェク」
(´・ω・`)「あ、アドルフ…ごめん、今は少し忙しくて…」
彡(゜)(゜)「明日、出発するで 出来れば一緒に駅まで来てくれや」
(´゜ω゜`)「明日!?随分急だね」
彡(゜)(゜)「そんじゃ、仕事頑張ってな…」
彡(゜)(゜)「叔父さんも、無理をなさらずに頑張って下さい」
父「ありがとう、アドルフ君はいつも礼儀正しいねぇ」
彡(゜)(゜)「ほな…また…」
夜
(´・ω・`)「やっと終わった…!アドルフの家に行ってみよう…」
(´・ω・`)「ごめんください」
(*^◯^*)「クビツェク君なんだ!アドルフはいないんだ!」
(´・ω・`)「はぁ、そうですか…あの…」
(*^◯^*)「ウィーンへの引っ越しのことなんだ?」
(´・ω・`)「えっ、あ、はい…」
(*^◯^*)「アドルフは実科学校できちんと勉強していたら、今頃高卒資格を得ていた筈なんだ!」
(*^◯^*)「大急ぎでウィーンへ行って何になるんだ! 画家になっても、得るものはないし、歴史物語を書いても、1クローネにもならないんだ!」
(*^◯^*)「もうアドルフを助けてやることはできないんだ!アドルフだけじゃなく、パウラもいるんだ!」
(´・ω・`)「妹さん、体が弱いんでしたね」
(*^◯^*)「アドルフはそんなことお構い無しなんだ! まるで世界に自分一人しかいないかのように、自分の道を進むんだ!」
(*^◯^*)「うぐ…」
(´・ω・`)「お、おばさん!?」
(*^◯^*)「最近はもう…駄目なんだ…! ああ…あのお星さまに顔が見えるんだ…!」
(´・ω・`)「し、しっかり…!」
(*^◯^*)「クビツェク君…アドルフが自力のを見る前に、この体は駄目になるんだ…!」
(*^◯^*)「アドルフは孤独なんだ…! だから一瞬いてやってほしいんだ…!」
(´・ω・`)「おばさん…」
翌日 駅
彡(゜)(゜)「もうマッマは一切反対せん ワイは行くで」
(´・ω・`)「あれ、クララおばさんは?」
彡(゜)(゜)「親が子を見送るなんて恥ずいやろ!」
(´・ω・`)「そっか…」
彡(゜)(゜)「あいつだって…あの糞親父だってウィーンへ行かなかったら一生靴職人でマッマとも結婚できなかったんや ワイだってできるで…!」
彡(゜)(゜)「だからクビツェク! お前もこいや!」
(´・ω・`)「ははっ、またまた…」
彡(゜)(゜)「クビツェク! これはいつもの冗談やない! 本気や!お前が望まんと一生そのままやぞ!」
(´・ω・`)「うっ……!」
彡(-)(-)「ワイは知っとるんやで、お前がワイに及ばずとも努力していることを… オペラに行く回数を減らして家庭教師を呼び、詩を読んだり…」
彡(゜)(゜)「後はお前が勇気をだすだけや!そしたらワイも全力でやれることをやらせてもらうで!」
(´・ω・`)「アドルフ…」
彡(゜)(゜)「せやから、来い!クビツェク!」
ポーッポーシュッポー
彡(-)(-)「ほな…またな…待ってるで…」
(´-ω-`)「……」
(´・ω・`)「……!」
クビツェク家
父「クビツェク… そうか、ヒトラー君は行ったか」
(´・ω・`)「父さん…僕…」
父「皆まで言うな お前の頑張りはヒトラー君から聞いてる お前のやりたいこともな」
(´;ω<`)(アドルフ…あんなこと言って、もうやることやってるんじゃないか…!)
父「仕事がないときはなるべく家を避けていたお前が親友を見送った後すぐここに来た…! それだけでもう私は理解した」
(´;ω;`)「父さん…! じゃあ…!」
父「ああ…ただし後一年の修行を終えてだ 勿論音大の受験勉強と平行でな」
(´;ω;`)「うん…うん…やるよ…勿論やるよ…!」
ウィーン
『アドルフへ 君のおかげで、父さんの許可が貰えたよ 宝くじの夢は叶わなかったけど、同居して二人、ウィーンで学生生活を送る夢は果たせそうだね』
(´・ω・`)
『あと一年で、君に追い付くよ それまで、抜け駆けして有名になったりしてちゃ駄目だからね』
(´・ω<`)
『アウグスト・クビツェク』
彡(゜)(゜)「ふふふ、やりおった、やりおったであいつ! 全てはワイの計画通りや!」
彡(゜)(゜)「だが悪いな、クビツェク! ワイはお前を待つつもりはないで! 必死にワイの芸術家人生に喰らいついてくるで!」
「大松造形美術大学」
彡(゜)(゜)「この美大からワイのそれは始まるんや!」
彡(^)(^)「ほな、行くで!」
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