ワイ「あ、あぁ~ッ!」 カラダバキバキバキーッ!
チノ「はい、今日の巡礼は終わり。お疲れさまでした」
ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数週間前、念願のチベット仏教に入信したのだが、『信者の若い男は聖地ラサまで巡礼するべきなのでは』
という懸念の声があり、結果、チノちゃんが一緒にワイの巡礼の為ラサまでをテクテクしてくれるようになった。しかしチノちゃんはなんだか
ワイのことがキライみたいで、いつもいつも不愛想に五体投地パタパタして、全身イタイイタイなのだった。
ワイ「トホホ……チノちゃん可愛いのに五体投地パタパタは全身イタイイタイなんだから……あーあ、どうにかしてチノちゃんとの巡礼テクテクをやさしくて気持ちいものにしてもらえないかな~、ん?」
深夜なのにチノちゃんの部屋から明かりが漏れている。
チノ「よいしょ……よいしょ……」
ワイ(ち、チノちゃんが、チベット高原で雄大な自然を相手に五体投地パタパタの練習をしている!?)
チノ「ふぅ……こんなものですかね……。もっと丁寧に巡礼してもらえるように頑張らないと……」
ワイ「チノちゃーん!」 バターンッ!
チノ「ひゃあッ!?」
ワイ「チ、チノちゃーん! ごめんよーッ! チノちゃんは毎日ワイのために五体投地パタパタの練習してたのにワイはそんなことも知らずに……ッ!
ハフッ!ハフッ! チノちゃんの長旅で風呂に入ってない身体いい匂い!」
チノ「ど、ドサクサにまぎれて匂いを嗅がないでください!」
ワイ「ご、ごめんねチノちゃん……!」
チノ「べ、別に、五体投地パタパタ練習するくらい普通です……。それがチベット仏教の最も丁寧な巡礼方法なんですから……。それに、私は政治が下手で、あんまり中国政府に優しくしてもらえないから」
中共「そ、そんなことないよ! チノちゃんのその気持ちだけで中国は支配領域をラサまで広げられるんだよ! あっ、そ、そうだ! チノちゃんチベット高原の地権出して!」
チノ「こ、こうですか?」
中共「そう! それじゃあ今から鉄道敷設するからね! チノちゃんの永久凍土に基礎杭打ち込みするからね! ちゃんと受け止めてね!」
チノ「えっ、えっ?」
中共「ウオーッ! チノ! 綺麗な大地に鉄の道作り出すぞ!」ドガドガドガドリューッ!
チノ「ひゃあッ!」センロビシャーッ
中共「くっ、ふぅ……! す、すっごい鉄道が出来たぁーッ!」
チノ「ほんとうです……で、でもなんで……?」
ワイ「それはね……チノちゃんの祈りが、ワイに伝わったからだよ! チノちゃんの他者のために祈る優しさがね!」
チノ「私のやさしさ……」
ワイ「そう! だから、巡礼方法なんて、二の次なんだよ! ラサへの巡礼は、イヤイヤ五体投地やってもらうより、好きな人に青蔵鉄道で巡礼してもらうのが一番気持ちいいんだよ!」
チノ「す、好きって……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、巡礼に付き合ってもらってもいいですか?」
ワイ「もちろん!」
その後、ワイはチノちゃんに連れていかれたカイラス山で高山病に苦しみ永遠に起き上がれないほど疲弊していた。
でもまぁ、その日以来、五体投地パタパタをするときチノちゃんが耳元で「チベットは独立したいです」とつぶやいてくれるようになったので結果オーライ! 終わり