森島「橘君?キミさ、自分がヘンタイだって自覚あるかな?」
橘「えっ……僕って変態だったんですか!?」
森島「へ、変態も変態!ド変態よ!」
橘(た、確かに変態!って罵られることは多い気がするけど……。僕ってやっぱり変態だったのか……!)
橘(し、しかし……意外にも森島先輩に罵られるのも悪くないぞ!も、もっとこの薄汚くて変態な僕を罵って下さい!)ハァハァ
森島「……おーい?橘君?」
橘「は、はい!時に厳しく!でも時に優しくでお願いします!」
森島「……でね?ひびきが私のことを心配するように、私もキミのことが心配になってきちゃってね」
橘(スルー!そんなのもあるのか!)
森島「だ、だから……!」
森島「キミに自分をキャッカンシ?させてあげるわ!」
橘(キャッカンシ?……あぁ、客観視か)
橘「……というと、どうするんですか?」
森島「わ、私がキミにやられて恥ずかしかったヘンタイ行為を、キミにやりかえしちゃうんだから!」
森島「か、覚悟なさい!?」
橘「えぇ!?そ、そんな!?」
橘(な、なんてことだ……僕が森島先輩にやったことをやり返されるなんて……!)
橘(あ、あんなことやこんなことが僕の身に……!?)
橘(僕……僕っ……!!どうなってしまうんだ!?)
橘(……って、うん?冷静になれ。冷静になるんだ、純一!)
橘(森島先輩が僕にあんなことやこんなことを?)
橘(と、得をするのは僕だけじゃないか!いやっほぉぅ!)
橘(よ、よし!ここは話にのってしまおう!)
橘「……わかりました。これは自分を見つめ直すいい機会だと思いますので」
橘「ぼ、僕に客観視をさせて下さい!お願いします!」
森島「わぉ!いい返事ね!」
森島「わかったわ……じゃあ、早速始めようか!」
橘「は、はい!よろしくお願いします!」
森島「いい?途中で恥ずかしくなったからやめ!なんて許さないんだからね!?」
橘「も、もちろんです!……で、何からやるんですか?」
森島「……そうねぇ。ここは二人の出会いから始めましょう!」
橘「で、デアイから!?」
~食堂~
森島(こ、このラーメン……美味しいわ!)ズルズル
森島(三年もこの学校に通ってて気付けなかっただなんて……)ズルズル
森島(森島はるか、一生の不覚よ!)ズルズル
森島(あぁ……幸せっ)ズルズル
橘「お、おう!ねーちゃん!女にしとくには勿体無い食べっぷりだな!」
橘「そ、そんなねーちゃんにはこれをやるよ!え、遠慮はいらない……ぜ?」
カラアゲドーン!
森島「……えっ?」
橘「いや~、いいものを見せてもらったよ!じゃあな!」スタスタ
森島「えっ?えっ?」
森島(か、唐揚げが!?ラーメンにドーン!?)
森島(そ、そもそもあの人って誰なの!?どこかで会ったことがある気がするんだけど……)
梅原「す、すみません!うちの大将が先輩にご迷惑を!」
森島「……キミは?」
梅原「お、俺は二年の梅原正吉って言います!さっき先輩にご無礼を働いたのは、同じクラスの橘純一ってヤツでして……」
梅原「あ、あいつには俺から厳しくいっときますんで!どうか、どうか……!」
森島「……別にいいよ?気にしてないし」
梅原「す、すみませんでした!失礼します!」
森島「……そう。橘純一君っていうんだ、彼」
森島「ふふっ、面白い子ね」
橘「……あ~、恥ずかしかった」
梅原「おぅ、大将!名演だったぜ!」
森島「……消えてしまいたい」
橘「ど、どうしたんですか!?」
森島「私……他人の目からああいう風に映ってたのね?」
橘「だ、大丈夫ですよ!フリーダムなところは先輩の一番の魅力じゃないですか!」
梅原「そうですよ!気にし過ぎですって!」
森島「う、梅原君……ごめんね?わざわざ付き合ってもらっちゃって……」
梅原「いや、楽しかったんで問題ないですよ?」
森島「うぅ……キャッカンシって怖いのね」
橘「……やめますか?」
森島「いいえ!続行よ!こんなことで挫けないんだから!」
森島「じゃあね……次は~」
森島「橘く~ん!」
橘「お、おう!森島のねーちゃんか!」
梅原「どうしたんですか?そんなに息を切らせて」
森島「橘君達は今から帰り?」
橘「こ、これから梅原と買い物にでもいこうと思ってな!が、がはは……」
梅原「先輩もお帰りになられるところで?」
森島「う、うん!あ、あのさ!」
森島「も、もし問題がなかったらなんだけど……」
森島「ふ、二人の買い物に着いていってもいいかな?」
橘「えっ……」
梅原「あ、あの……えーと?」
橘「おいおい!ねーちゃん!本当に着いてくるのかい!?」
梅原「せ、先輩……?俺たちがこれから買いにいくのは……」
森島「ふぇ?」
森島「……お宝本!?」
橘「あ、あぁ!今日発売の新刊が熱くてな!」
梅原「ですから、先輩はその……おやめになられた方が……」
森島「……かまわないわ!行きましょう!」
橘「ね、ねーちゃん!?正気か!?」
梅原「ほ、本当にいいんですか!?」
森島「えぇ!荷物持ちでもいいから着いていくわ!」
森島「そ、それに……興味あるし……」
橘「見所のあるねーちゃんだな!俺の見込んだ通りだ!」
梅原「そ、そこまでおっしゃるなら……はい」
森島「じゃあ、早く行きましょう!」
森島「レッツゴー!」
森島「……と、まぁ、このようにね?」
森島「ひびきと下着を買いに行くとき、橘君はこんな感じに食い下がってきたのよ?」
森島「どう?思うところはある?」
橘「……なんで、僕のキャラがよくわからないことに?」
梅原「……不安定にも程があるよな」
森島「そ、そんなところはどうでもいいの!」
森島「ねぇ?どう感じた?」
橘「恥ずかしかったというよりも……何だかびっくりしちゃいました」
森島「そう!その通りよ!私もキミには驚かされっぱなしだわ!」
梅原「あ、まだ続けますよね?」
森島「もちろんよ!」
森島「次は~……うん!アレにしよう!」
塚原「橘君……よね?」
橘「お、おう!俺が二年の橘だ!」
塚原「わ、私は三年の塚原響っていう者なんだけど」
塚原「と、突然でごめんなさい?あ、あのね?私……あなたにお話したいことがあって」
橘「?」
森島「じゃ、ジャストアモーメントよ!ひびきちゃん!」
塚原「は、はるか!?」
森島「それ以上は許可しないわ!」
塚原「きょ、許可!?そんなこと言われても……」
森島「と、とにかくダメなの!」
森島「ほ、ほら!こっちにきて!」
塚原「た、橘君?というわけで失礼するわね?」
橘「お、おう……」
橘「……何だったんだ?」
塚原「はるか!?私にこんなことをさせるために呼び出したの!?」
森島「んっふっふっー、口ではそんなこと言ってるけど、ノリノリだったじゃない?」
塚原「くっ……ノってしまった自分が悔しい……」
梅原「あー、そういえば煮え切らない橘を見てられなくて、こんなことしたっけな……」
森島「橘君?どう思った?」
橘「何だかこれから面白いことが起こりそうな……そんな感じはしました」
森島「うんうん!まったくその通りよ!」
橘「あ、あの!」
森島「うん?」
橘「今まで演ってきたのって、あんまり僕の変態さとは関係ないですよね?」
森島「ふふふっ、それなら次からギアを一個上げてくわよ!」
塚原「……ねぇ?帰っていい?」
~廊下~
森島「ねぇねぇ?橘君?」
橘「は、はい?何ですか?」
森島「……お腹空いた」
橘「……といわれましても」
森島「そうね……お菓子持ってない?もうお昼まで我慢できないの!」
橘「お、お菓子ですか?あ、あることはあるんですが……」
森島「わぉ!本当に!?」
橘「ら、ラーメンスナックなら」
森島「ねぇねぇ?飢えた私にお菓子を施してみない?」
橘「……いいですよ」
森島「さすが橘君ね!そう言ってくれると信じてたわ!」
橘「……ただし!」
森島「た、ただし!?条件?条件があるのね!?」
橘「手を使わずに食べて下さい」
森島「て、手を!?使わずに!?」
橘「ほらほら、先輩?こうやって僕の手に袋から出してですね……」パラパラ
橘「……これなら手を使わずに食べられますよね?」
森島「むむむっ!人としてのソンゲン?を踏み躙られてる気さえするわ!」
橘「さすがの森島先輩もこんなの出来ませんよね?」ニヤニヤ
橘「負けを認めるなら一口くらいは……」
森島「で、でも……背に腹は変えられないわ!」
森島「えーい!」
パクッ……ペロペロ……
橘「!?」
森島「……」ペロペロ
橘(こ、これは……!)
橘(僕の手の平を森島先輩の温かくてヌルヌルした舌が這って……うっ!)
橘(な、なんてことだ!こんなことって!こんなことって!)
橘(あぁ……いけません!先輩!これ以上は!)ハァハァ
森島「橘く~ん?おかわりは~?」
橘「え!?おかわり!?」
森島「す、ステイなの……?」
森島「そんな……焦らしちゃイヤだよ?」
橘「は、はい!今!」パラパラ
梅原・塚原「廊下で何やってんだ!このバカ共っ!」
梅原「み、見てるこっちが恥ずかしいぜ!?」
塚原「はるか?再現したかったのはわかるけど、みんなの見てる休み時間にやる所まで再現しなくてもいいでしょ?」
森島「えぇ~?そこまでやらないとキャッカンシにならないでしょ?」
塚原「そ、それはそうだけど……ねぇ?」
梅原「あ、そういえば大将はキャラ作るのやめたのか?」
橘「う、うん。何だか方向性がわからなくなっちゃってさ」
森島「そんなことより!」
森島「ねぇ?橘君?今のはどう感じた?」
橘「そ、それは……そのですね」
橘「ぼ、僕の手を這う森島先輩の官能的な舌触り!」
橘「そこに廊下を歩く生徒の怪訝な視線が加わることで……新しい世界が見えた気がしました!」
森島「でしょ!?でしょ!?堪らないわよね!」
森島「……って、橘君?」
森島「もう!今回はそういうことじゃないの!」
森島「シュウモク?に晒された状態で突然自分の手の平を舐められて、どう感じたかって話よ!?」
橘「そ、それは……嬉し恥ずかしというか……」
梅原「ダメだこりゃ」
塚原「……でも恥ずかしいと感じてはいるのね?」
橘「は、はい!森島先輩の奇行は、変態のそれだと思いました!」
森島「そ、それをキミは私にやったのよ!?わかる!?」
橘「……その節は申し訳ありませんでした」
森島「わ、わかればいいのよ!わかれば!」
塚原「ねぇ?はるか?橘君が自分が変態だって気付けたみたいだし、この企画はもう終わり?」
森島「……いいえ!まだやることがあるわ!」
塚原「へぇ?まだあるんだ?」
梅原「俺達に手伝えることはありますか?」
森島「う~ん、二人の手はもう借りるところないから……解散!」
塚原「……そう?じゃあ私は帰るけど」
梅原「先輩!また何かやるときは呼んで下さい!」
森島「うん、二人とも協力ありがとう!」
森島「……さて、橘君?次にやることはわかってるよね?」
橘「……ひ、膝裏ですか?」
森島「そ、そう!膝裏に……キス!」
森島「これをやらなくちゃ、私の受けた恥ずかしさは伝わってないも同然よ!」
橘(……きたか!)ゴクリ
森島(うぅ……橘君ともう一度キスしたいよ……)
森島(もうダメ!一日中そのことばっかり考えちゃう!)
森島(……ってあれは!)
森島「橘君!」
橘「も、森島先輩?どうしたんですか?」
森島「あ、あのね?私……橘君ともう一度キスを……」
橘「……もう、仕方ないですね」
橘「いいですよ?」
森島「ほ、本当に!?」
橘「ただし!」
森島「ま、また条件なのね!?」
森島「な、何をすればいいの?」
橘「そうですね……では、こうしましょう」
橘「誰にも見つからずにキスできるところまで、僕を連れて行って下さい」
森島「そ、そんな!?」
橘「あれ?出来ないんですか?」
森島「……やる!やってやるわ!」
森島「こ、こっちよ?着いてきて?」
橘「期待してますよ?先輩?」
~ポンプ小屋~
橘「……ここですか?」
森島「えぇ、ここなら誰にも見つからないでしょ?」
橘「さすが先輩ですね、こんな穴場を知ってるなんて」
森島「うん……だからね?い、いいかな?キスしても……」
橘「は、はい!」
森島「じゃ、じゃあ……!」
橘「あ、唇はダメです」
森島「えぇぇぇ!?」
橘「そうですね……森島先輩らしいところにキスして下さい。それなら構いませんよ?」
森島(そ、そんな……さすが橘君ね!私を試すなんて!)
森島(でも私らしい場所かぁ……う~ん)
森島(あ、そうだ!あそこにしよう!)
橘「決まりましたか?」
森島「ひ、膝裏……」
橘「えっ?」
森島「橘君の膝の裏にキスさせて!」
橘「膝の裏か……あぁ、膝裏ね。そっか膝裏か……って、えぇ!?」
森島「わ、私ね!わんちゃんが大好きなんだけど!」
森島「ほ、ほら!わんちゃんって膝の裏を舐めてくるじゃない!?」
森島「あれってなんでなのかなーってね?気にならない?」
橘「そ、そう言われてみれば……気になります!」
森島「でしょでしょ!?だから私ね、橘君の膝の裏にキスしたらわんちゃんが何で膝の裏を舐めたがるのかわかるかと思って!」
橘(な、何て苦しい理由なんだ……!立場を逆にしてみて、自分のバカさ加減にうんざりしてきたよ!)
橘(……でも、ここでやめるわけにはいかないんだ!)
橘(そう!この先は……!)
橘「わかりました、それならば僕の膝の裏にキスして下さい!」キリッ
森島「わぉ!断られたらどうしようかと思っちゃったわ!」
森島「じゃあね?そ、その……」
橘「は、はい!膝の裏出さなきゃダメですよね!」カチャカチャ
森島「うん……ちょっと私も恥ずかしくなってきちゃった」
橘「ど、どうぞ?」
橘「う、上……見ないで下さいね?」
森島「わ、わかってる!」
森島(わ、ワイシャツの裾で隠れてるけど、橘君の下着が……)
森島(これがチラリズムなのね!)
橘(せ、先輩の前で制服のズボンを降ろすなんて……堪らないよ!)ハァハァ
森島「い、いくね?」
橘「は、はい!どうぞ?」
森島「……んっ」チュッ
森島「……んんっ」チュパチュパ
橘(こ、これは……!?)
橘(く、くすぐったい!くすぐったいよ!)
橘(で、でも……!)
森島「……はぁ」チュッ
橘(先輩の舌の感触と吐息が膝の裏に当たって……)
橘(何だか物凄くいけないことをしてる気分だ!)
森島「……んっんっ」ペロペロ
橘(あ、あぅ……そ、そんなところ舐めちゃダメですよ!先輩!?)
森島(も、もうちょっと上まで……!上までしてもいいよね?)
森島「……あはぁ」ツーっ……
橘「いいっ!?ちょ、ちょっと先輩!?」
橘「な、何してるんですか!?」
森島「わんわん!」
橘「ダ、ダメですよ!そこから先は通行止めで!」
森島「……本当に?」
橘「あ、交通規制が解除されたみたいですね」
森島「じゃ、じゃあ!」
バーンッ!
橘・森島「!?」
塚原「だから!何してんのよ!?あなた達は!?」
梅原「大将?大将はそうやって大人の階段登っていっちまうんだな!チクショイッ!」
橘「あ、あはは……」
森島「もう!変なタイミングで踏み込んでこないでよ!?」
塚原「もうこの際、何の再現なのか不問にするよ?」
森島「そ、そうそう!橘君?今のはどう思ったかな?」
橘「な、なんていうか……」
橘「……僕って救いようの無い変態なんだなって確信しました」
橘「な、何ですか!?『わんわん!』って!?」
橘「あ、頭おかしいんじゃないですかね!?僕って!」
梅原「……おいおい、今更か?」
森島「……私、その頭おかしいことをキミにされたんだけど」グスン
橘「す、すみませんでしたーッ!」ドゲザー
塚原「まぁ、はるかもノリノリでやってたし、橘君がなんで変態行為に及ぶのかわかったんじゃないかな?」
森島「そうなのよね!やってみると、意外とこれが楽しくなってきちゃって!」
森島「何だか変にドキドキするというか……し、仕方ないわよね!」
塚原「……はぁ、まったくお似合いの二人ね」
塚原「梅原君?私達がここにいても邪魔になるから帰るよ?」
梅原「は、はい!」
梅原「大将……お幸せにな?」
バタン
橘「えっ?ちょ、ちょっと?」
森島「……行っちゃったね、ひびき達」
橘「……どうします?」
森島「せ、せっかくだし!もうちょっとわんわんしてく?」
橘「あ、いいですね!それ!」
森島「じゃ、じゃあ!今度は橘君がわんちゃんの役ね?」
橘「わんわん!」
橘(なんてことだ……変態ライフ最高じゃないか!)
完
乙
このまま大人の階段を登っていったか