清「イギリスちゃん！そんなにアヘンを送りつけないで！」イギリス「うるさいですね……」

清「あ、あぁ～ッ！」アヘンアヘーン！！

イギリス「はい、今日の密貿易は終わり。お疲れさまでした」

清「うぅ……あ、ありがとうございました……」

18世紀以降、イギリスちゃんは清と貿易して念願のお茶を輸入するようになったのだが、『輸出するものがないと銀が流出してしまうのでは？』という懸念の声があり、結果、インドのアヘンをこっそり密貿易して輸入超過を食い止めることにしたのだった。

しかしアヘンは非常に依存性の強いなので、清では中毒者が続出して、国民はアヘンアヘンなのだった。

清「トホホ……密貿易のせいで銀は流出するし国民もアヘンアヘンなんだから……あーあ、イギリスちゃんはアヘンの引き渡しに応じてくれないし、アヘンを押収して貿易停止しようかな～、ん？」

深夜なのにイギリスちゃんの議会から明かりが漏れている。

イギリス「よいしょ……よいしょ……」

清（い、イギリスちゃんが、アヘンの押収を口実に戦争を始めようとしている！？）

イギリス「ふぅ……こんなものですかね……。押収された（密）貿易品はきちんと賠償してもらわないと……」

清「イギリスちゃーん！」バターンッ！

イギリス「ひゃあッ！？」

清「い、イギリスちゃーん！　ごめんよーッ！　ワイは20万の大軍を用意したのに1万のイギリス軍を相手に戦争にすらならないなんて……ッ！
ハフッ！ハフッ！　アヘン戦争にボロ負けしたから不平等条約を結んで開国するね！」

イギリス「で、でもこれだけじゃまだまだ自由貿易とは言えません！」

清「ご、ごめんねイギリスちゃん……！」

イギリス「そ、そういえばこの間、海賊行為を行っていたイギリス船籍の船を捕まえて国旗を降ろしたそうじゃないですか（アロー号事件）……。
これはイギリスに対する大きな侮辱なので、今度はこの事件を口実にアロー戦争を始めますね……。
それから、フランス人宣教師の殺害事件も起きてるので、フランスちゃんも参戦します」

清「そ、そんな！　アロー号の船籍期限は切れてるはずなのに！　あっ、北京を占領しないで！　貴重な文化遺産を略奪しないで！」

清「ああっ！　円明園が！　ヴェルサイユ宮殿と並び称されるバロック式の庭園が廃墟に！」

イギリス・フランス「最後は略奪の証拠を消すために火をつけて燃やしますね？」

清「ウオーッ！　そんな！　5代150年かけて造営したのに！」シクシクシク

イギリス・フランス「降伏しますか？」ニッコリ

清「くっ、ふぅ……！　こ、降伏しますぅッ……！」

清「ど、どうしてこんなことに……」

官僚「それはもちろん、清が近代化に遅れたからです。これからは西洋を見習って改革しないといけません」

清「改革……」

官僚「その通り。ですから西洋の学問だけを取り入れる『中体西用』の精神で富国強兵しましょう。一番大事なのは中国の伝統ですから！」

イギリス「はわわ……やっぱり『眠れる獅子』は怖いですね……あ、あの……もうちょっとだけ、植民地化は先延ばしにしておきますね？」

清「中体西用！」

しかしその後、清は日清戦争でボロ負けして、列強諸国に分割され食い物にされてしまうのだった。

ちなみに、略奪された円明園の美術品は大英博物館を含む世界中の博物館に収蔵されていて、未だに返還されてなかったりするけど結果オーライ！　終わり