ローマ軍「あ、あぁ~ッ!」グサグサグサーッ!
ハンニバル「はい、これでカンネーの戦いは終わり。お疲れ様でした」
ローマ「うぅ……あ、ありがとうございました……」
紀元前3世紀頃、ローマはカルタゴに第一次ポエニ戦争で勝利し、地中海の制海権を握っていたのだが、
『ローマに勝つためには冬のアルプスを越えるしかないのでは?』という懸念の声があり、結果、
ハンニバルちゃんが多数の死者を出しながらもアルプスを越えてイタリア半島に攻め込むことに
なった。
しかしハンニバルちゃんは、天才的な指揮官だったようで、いつもいつもローマ軍を壊滅させて、
各地の街や村は略奪されてイタイイタイなのだった。
ローマ「トホホ……ハンニバルちゃん人数では劣っているはずなのに戦いはツヨイツヨイなんだから……
あーあ、どうにかしてハンニバルちゃんの進撃を止められないものかな~、ん?」
連戦連勝なのにハンニバルちゃんがなかなかローマの本拠地に攻めてこない。
ハンニバル「よいしょ……よいしょ……」
ローマ「は、ハンニバルちゃんがローマ攻略よりもイタリア諸都市の切り崩しを優先している!?」
ハンニバル「ふぅ……こんなものですかね……。もっとこちら側へ寝返ってもらえるように頑張らないと……」
ローマ「ハンニバルちゃーん!」 バターンッ!
ハンニバル「ひゃあッ!?」
ローマ「ハ、ハンニバルちゃーん! ごめんよーッ! ハンニバルちゃんは補給が上手くいかずローマへ攻め込む余裕もないのにワイはそんなことも知らずに……ッ!
ハフッ!ハフッ! カルタゴ本国へ上陸成功!」
ハンニバル「ど、ドサクサにまぎれて本国へ攻め込まないでください!」
ローマ「ご、ごめんねハンニバルちゃん……!」
ハンニバル「べ、別に、イタリア諸都市の切り崩しを優先するくらい普通です……。ローマの強みは、そこから供給される無尽蔵の兵数なんですから……。
それに、カルタゴ本国は日和見で、あんまり連携が上手くいっていなかったから」
ローマ「そ、そんなことないよ! ハンニバルちゃんのその戦略だけでワイは十分損害でかいんだよ! あっ、そ、そうだ! ハンニバルちゃんカルタゴに帰ってきて! 」
ハンニバル「こ、こうですか?」
スキピオ「そう! それじゃあ今からザマの戦いするからね! ハンニバルちゃんのやわらか歩兵隊を包囲殲滅するからね! ちゃんと受け止めてね!」
ハンニバル「えっ、えっ?」
スキピオ「ウオーッ! ハンニバル! 背後から騎兵に突撃させるぞ!」ザクザクザクーッ!
カルタゴ軍「ひゃあッ!」ビシャーッ
スキピオ「くっ、ふぅ……! す、すっごい戦果が出たぁーッ!」
ハンニバル「ほんとうです……で、でもなんで……?」
ローマ「それはね……カルタゴの団結力が、ローマより低かったからだよ! カルタゴ本国や兵士のハンニバルちゃんに協力しようという気持ちがね!」
カルタゴ「私の団結力……」
ローマ「そう! だから、戦術なんて、二の次なんだよ! 戦争は、上手い人に指揮させるより、離反者を出さずに一丸となって戦うのが一番強いんだよ!」
ハンニバル「はわわ……あ、あの……賠償金は払うので、もうちょっとだけ、カルタゴを存続させてもらってもいいですか?」
ローマ「もちろん!」
第二次ポエニ戦争後、ハンニバルは政治家としてカルタゴの復興に努め、50年分割払いの予定だった賠償金を前倒しして一括払いできるまでに復興した。
でもまぁ、ローマが何やかんや難癖を付けて始まった第三次ポエニ戦争でカルタゴを滅亡させたので結果オーライ! 終わり