ネオンの看板が連なる飲食店ビルのエレベーターの中、眼鏡の男は同乗していた見知らぬ男性をにらみつけるといきなり胸倉に掴みかかった。
隆々とした太い腕で、有無を言わさず男性の首根っこを締め上げると、そのままエレベーターの壁までドスンと突き飛ばした。
筋肉トレーニングで鍛え上げられた圧倒的な腕力でミシミシと締め上げると、男性の首はポキッと折れそうなほどひしげた。
その怒気を帯びた表情のゲジ眉の光った眼鏡の男の正体は誰あろう、頑張パワフルズ・矢部明雄その人だった。
パワフルズ番記者が語る。
「矢部は、4月6日のカイザース戦で今季初スタメンを飾ってますが、6打数0安打3三振2併殺打1盗塁死2失策。
その翌日には、登録が抹消され、2軍落ちとなりました。
その翌週の2軍戦でスタメン出場が予定されていたのですが、何の前触れもなくスタメンを回避したのです。
その原因が飲みに行った先で客とトラブルを起したことだった」
球団関係者が重い口を開く。
「4月中旬、場所は頑張区内、クラブなど飲食店が立ち並ぶビルのエレベーター内でした。
見ず知らずの人の首を締め上げる暴挙には、さすがに矢部と同行していた若菜初美が止めに入り、男性に大きなケガはなかった。
矢部は泥酔状態でまったく覚えていないようです。ちなみに、矢部と一緒だったのは選手ではありません、球団職員です」
矢部は過去にも酒席でのトラブルを報じられたことがある。
同様の騒動を起こし、ひた隠しておきたかっただろうが、その情報はすぐチーム内に拡散。
みな、あきれ返っている。
「選手やコーチは『またやらかしたらしいな』と口々に話し、
中にはパワプロ選手などに『騒動を報じちゃったほうがいい』とお灸をすえる意味で話す声もあったといいます。
橋森監督も『またバカをやったんだ』と、もはやオモシロ話として話しているほどです」(スポーツ紙デスク)
波紋を広げるばかりの暴行騒動だが、その陰では矢部がトレード要員になっていたとも──。
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