(´・ω・`)「うーん」パラパラ
彡(゚)(゚)「おっ原住民やんけ!なんや読書しとんのか?」
(´・ω・`)「あっやきうのおにいちゃん」
(´・ω・`)「実は本を買ってみたんだけど、なかなか読み進められなくて」
彡(゚)(゚)「ほーんどれどれ、夏目漱石のこころか」
彡(゚)(゚)「まあ夏目漱石は読みやすいほうやけど、これは3部作だし本読み慣れてないとちょっと長く感じるかもなあ」
(´・ω・`)「初心者におすすめのってなにかないの?」
彡(゚)(゚)「うーんせやなあ」
彡(゚)(゚)「桜の樹の下には死体が埋まってる」
彡(゚)(゚)「って聞いたことあるか?」
(´・ω・`;)「おにいちゃんまさか」
彡(゚)(゚)「何考えてるか大体わかるけどちゃうで、小説の話や」
彡(゚)(゚)「あまりに見事に咲き誇る桜を見て狂った男が、きっと樹の下には死体が埋まってるに違いないと一人で延々とと語るんや」
彡(゚)(゚)「わずか4ページの梶井基次郎の名作やな」
(´・ω・`)「よ、4ページ?これならぼくでも読めるよ」
彡(゚)(゚)「まあそんな梶井基次郎の短編が収録されてる本の表題作があってな」
彡(゚)(゚)「檸檬っていうこれまたケッタイな名作やで」
(´・ω・`)「漢字が難しくて読めないよ」
彡(゚)(゚)「ほんまお前アホやなボケカス(れもんって読むんやで)」
彡(゚)(゚)「まあこれも9ページと短いんやがな、これはワイが数ある小説の中で最も好きな作品のひとつや」
(´・ω・`)「どんな話なの?」
彡(゚)(゚)「大まかには話すけど、興味持ったら図書館で借りるなり本屋行くなりしたほうがええで。小説の醍醐味は文章やからな」
(´・ω・`)「わかったからあくしろよ」
彡(゚)(゚)「得体の知れない不吉な塊がワイの心を始終抑えつけていた」
彡(゚)(゚)「焦燥と云おうか、嫌悪と云おうかーー」
彡(゚)(゚)「これはちょっといけなかった」
彡(゚)(゚)「肺尖カタルや神経衰弱、背を焼くような借金がいけないんやない」
彡(゚)(゚)「いけないのはその不吉な塊やな」
彡(゚)(゚)「以前ワイを喜ばせたどんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくなったンゴ」
彡()()「何かがワイを居たたまれなくさせるンゴ…」
彡(゚)(゚)「それで始終ワイは街から街を浮浪し続けていたんや」
彡(゚)(゚)「何故だか見すぼらしくて美しいものに強く惹かれるンゴねえ」
彡(゚)(゚)「風景にしても壊れかかった街だとか、汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったりするような裏通りが好きやで」
彡(゚)(゚)「時々ワイはそんな路を歩きながら、ふと其処が京都やなくて、何千里も離れた仙台とか長崎とか、そんな街に自分が来ているような錯覚を起こそうと努めるんや」
彡(゚)(゚)「できるならワイを誰一人知らないような街へ行ってしまいたいンゴ」
すまんな>>6と>>7の間に入れるのひとつ忘れてたわ
脳内で補完してくれや
彡(゚)(゚)「第一に安静やな」
彡(゚)(゚)「がらんとした旅館の一室。清潔なふとん。いい蚊帳と糊のよくきいた浴衣」
彡(゚)(゚)「其処で一ヶ月ほど何も思わず横になりたいンゴ」
彡(゚)(゚)「ファッ!?ここがいつの間にかその街になってないか!?」
彡(^)(^)「あぁ^~ワイの錯覚と壊れかかった街の二重写しやで!現実のワイ自身を見失うのが楽しいんじゃ~」
彡(゚)(゚)「ワイはまたあの花火という奴が好きや」
彡(゚)(゚)「あの安っぽい絵具で赤や紫や黄や青や、色んな縞模様があるンゴねえ」
彡(゚)(゚)「びいどろとかいう色硝子、ペロッ!w」
彡()()「あのびいどろの味ほど幽かな涼しい味があるものか、昔、口に入れてパッパやマッマに怒られた甘い記憶が落ちぶれたワイに蘇ってくるやで」
彡(゚)(゚)「さて、まるで金は無いけどワイ自身を慰めるためには贅沢が必要やな…」
彡(゚)(゚)「以前は丸善によう行って、洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮き模様を持った琥珀色や翡翠色の香水瓶。煙管、小刀、石鹸、煙草を見るのに小一時間も費やしてたなあ」
彡(゚)(゚)「結局一等いい鉛筆を一本買うくらいの贅沢しかしなかったけど」
彡(-)(-)「もう今は重苦しい場所にしか過ぎんな」
彡(゚)(゚)「金が無いからトッモの下宿転々としとるけど、トッモが学校に行ってしまった後の空虚な空気のなかに一人残されるワイ」
彡(゚)(゚)「まーたそこから彷徨い出なきゃいかんのか」
彡()()「何かがワイを追い立てるンゴ…」
彡(゚)(゚)「とうとう二条まで来てしまったで」
彡(゚)(゚)「そこにある果物屋がワイの知ってる範囲で最も好きな店でな」
彡(゚)(゚)「決して立派な店じゃないんやが、果物屋固有の美しさが最も露骨に感ぜられたんや」
彡(゚)(゚)「果物はかなり勾配の急な台の上に並べてあって、その台というのも古びた漆塗りの板で」
彡(゚)(゚)「何か華やかな美しい音楽の快速調(アレグロ)の流れが、ゴルゴンの鬼面となってあんな色彩に凝り固まらせたかのような、そんな風に果物が並んでるンゴ」
彡(゚)(゚)「 またそこの美しいのは夜やな、寺町通は賑やかなのにどうした訳かその店頭だけが妙に暗いんや」
彡(゚)(゚)「もしその果物屋が暗くなかったら、あんなにもワイを誘惑するには至らなかったやろな」
彡(゚)(゚)「その日ワイはその店で買い物をした。その店には今まで見かけなかった檸檬が出ていたんや」
彡(゚)(゚)「一体ワイはあの檸檬が好きや。あのレモンエロウの絵具を固めたような単純な色、あの丈の詰まった紡錘型の格好」
彡(゚)(゚)「檸檬なんて珍しくもなかったが、結局ワイはそれを一つだけ買うことにしたんや」
彡(゚)(゚)「それからのワイは何処へどう歩いたんやろか」
彡(゚)(゚)「おっ始終ワイの心を抑えつけていた不吉な塊がいくらか弛んできたな」
彡(^)(^) (ワイは街の上で非常に幸福だったンゴ)
彡(゚)(゚)「肺尖でいつも体に熱があるんやが、檸檬の冷たさが掌から染み透っていくのがぐう気持ちいいンゴ」
彡(゚)(゚)「鼻先に近付けて嗅いでみると、産地のカリフォルニヤが想像できるやで」
彡(^)(^)「ふかぶかと胸一杯に吸い込めば、ついぞ深呼吸なんかしたことなかった身体や顔には温い血のほとぼりが昇ってくるなあ」
彡(゚)(゚)「実際あんな単純な冷覚や触感や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたと云いたくなった程にしっくりくるなんて不思議ンゴねえ」
彡(^)(^) 「街を軽やかに闊歩するンゴ」
彡(^)(^)「この重さは全ての善いもの美しいものを重量に換算した重さである、なんて思い上がった諧謔心から考えてみるやで」
彡(^)(^)「あぁ^~幸福なんじゃ~」
彡(゚)(゚)「あれ、いつの間にか丸善の前にいるンゴ」
彡(^)(^)「今日は一つ入ってみてやろう」
彡(^)(^)「あんなに避けてたのに易やすと入れるで。サンキューレッモン」
彡(゚)(゚)「ンゴ…」
彡(゚)(゚)「何だか憂鬱になってきたンゴ。歩き廻った疲弊が出てきたかもしれんで」
彡(゚)(゚)「いつもの画集の棚に行くか」
彡(゚)(゚)「なんやこれ重スギィ!」
彡(゚)(゚)「一冊ずつ抜き出しては見るのを繰り返すけど、ちゃんと見ようとは思わんで」
彡(゚)(゚)「呪われたことにまた次の一冊を引き出すのをやめられん。一度バラバラやってみなくちゃ気が済まないんや」
彡(゚)(゚)「それ以上はたまらなくなって床へ置いてしまう。もとの位置に戻すことさえ出来ないンゴ」
彡(;)(;)「大好きだったアングルの橙色の画集さえまともに見れないンゴ…」
彡(゚)(゚)「はあ。疲れてしゃーないから積み重ねた本の群を眺めてるやで」
彡(゚)(゚)「一枚一枚画集に目を通した後、さてあまりに尋常な周囲を見渡す時のあの変にそぐわない気持ちを、以前には好んで味わっていたのになあ……」
彡(゚)(゚)「あ、そうだそうだ」
“その時私は袂の中の檸檬を思い出した。
本の色彩をゴチャゴチャに積み上げて、一度この檸檬で試して見たら。”
彡(゚)(゚)「そうだ」
本読むンゴwwwwww→読む気せーへん本積み上げるンゴwwwww→檸檬置いたろ!→これ爆弾みたいやなww爆発したらどーなるんやろ?
くっそうろ覚えのワイの檸檬
彡(゚)(゚)「またさっきの軽やかな昂奮が帰ってきたで」
彡(゚)(゚) (ワイは手当たり次第に積み上げて、潰し、また慌ただしく築き上げた)
彡(゚)(゚) (奇怪な幻想的な城が、その度に赤くなったり青くなったりしたンゴ)
彡(゚)(゚) (やっとそれは出来上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂に恐る恐る檸檬を据えつけた)
彡(゚)(゚) (そしてそれは上出来だったんや)
彡(゚)(゚) (周りのガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘型の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴え渡っていたんや)
彡(゚)(゚) (その檸檬の周囲だけ変に緊張してる気がしたンゴ)
彡(゚)(゚) (不意に第二のアイデアが起こって、それはワイをぎょっとさせた)
彡(゚)(゚) 「それをそのままにしておいてワイは、何喰わぬ顔をして外へ出るーー」
彡(^)(^) (ワイは変にくすぐったい気持ちがしたで)
彡(゚)(゚)「出て行こうかなあ。そうだ出て行こう」
彡(^)(^)「そしてワイはすたすた出ていったンゴ」
彡(^)(^)「丸善の棚へ黄金色に耀く恐ろしい爆弾を仕掛けてきた奇怪な悪漢がワイで、」
彡(^)(^)「十分後にはあの丸善が美術の棚を中心に大爆発をするんだったら、どんなに面白いことか」
彡(^)(^)「そしたらあの気詰まりな丸善も木っ端微塵やのに」
彡()()「ワイは活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩っている京極を下って行った」
終
彡(゚)(゚)「さて、こんな感じやけども」
彡(゚)(゚)「繰り返すけど興味持ったら実際に読んでみることオススメするで!
小説の醍醐味は文章やからな」
彡(゚)(゚)「村上春樹とか山田詠美もぐう面白い短編書いてるから見てみてや」
彡(゚)(゚)「それに短編といったら星新一は外せんな。大人が読んでも、というか実は大人向けの短編やなアレは」
彡(゚)(゚)「慣れてきたら長編に挑戦してもええかもな。一生のうち読み切れないほど名作は埋まってるで」
彡(^)(^)「少しでもこのスレが君の興味を本に向けてられたら幸いやで!」
梶井基次郎好きのワイ
檸檬を三行で語る
「結核で体が暑いンゴ、苛立つンゴ」
「檸檬ゲットや!ついでに本屋にも行くで」
「色とりどりの背表紙の本を積み重ねて檸檬を置いて完成や!檸檬爆弾やで!爆破したら愉快野郎なぁ!」
ポイントは梶井基次郎の色彩感覚なんやな
梶井はとにかく風景が派手で繊細で見事なんや
纏めてしまうと身も蓋もない話だけど
そこに至るまでの描写が美しいんや