「の、納税者ちゃん！　証拠書類捨てないで！」　納税者ちゃん「うるさいですね……」ｲﾗｲﾗｲﾗ

ワイ「あ、あぁ～ッ！」　サンジハンスギルーッ！

納税者「はい、今日で調査は終わり。お疲れさまでした」

ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」

数週間前、念願の税務職員に就職したのだが、『小さな会社でも経理を野放しにすると脱税されるのでは』という懸念の声があり、結果、納税者ちゃんが突発的なワイの税務調査を受けてくれることになった。
しかし納税者ちゃんはなんだか税務署のことがキライみたいで、いつもいつも意図的に書類ポイポイして、糸口ナイナイなのだった。

ワイ「トホホ……利益率低いのに元となる書類はナイナイなんだから……あーあ、どうにかして調査のハンコポンポンを大きくて派手なものにしてもらえないかな～、ん？」

個人口座なのに会社の通帳から現金が入っている。

チノ「よいしょ……よいしょ……」

ワイ（の、納税者ちゃんが、現金売上をそのままに個人口座への隠蔽している！？）

納税者「ふぅ……こんなものですかね……。もっとたくさん貯まるように頑張らないと……」
ワイ「納税者ちゃーん！」　バターンッ！
納税者「ひゃあッ！？」

ワイ「の、納税者ちゃーん！　ごめんよーッ！　納税者ちゃんは毎日自分のために現金売上ナイナイしてたのにワイはそんなことも知らずに……ッ!!ペタッ！ペタッ！　納税者ちゃんの領収書綴り日付順に並んでない！」

納税者「ど、ドサクサにまぎれてふせんを貼らないでください！」

ワイ「ご、ごめんね納税者ちゃん……！」

納税者「べ、別に、現金売上を隠すくらい普通です……。それが私の小遣いなんですから……。それに、ウチは薄利多売で、あんまりお客さんからはもらえないから」

ワイ「そ、そんなことないよ！　納税者ちゃんのその行為だけでワイは十分統括への報告気持ちいいんだよ！　あっ、そ、そうだ！　納税者ちゃん修正申告書出して！

納税者「こ、こうですか？」

ワイ「そう！　それじゃあ今から追徴するからね！　納税者ちゃんに追徴課税するからね！　ちゃんと受け止めてね！」

納税者「えっ、えっ？」

ワイ「ウオーッ！　納税者！　重加算税出すぞ！」ドピュドピュドピューッ！
納税者「ひゃあッ！」ｼﾞｬﾗｰｯ

ワイ「くっ、ふぅ……！　す、すっごい税額が出たぁーッ！」

納税者「ほんとうです……で、でもなんで……？」

ワイ「それはね……納税者ちゃんの行為が、隠ぺい又は仮装にあたったからだよ！　チノちゃんの証憑類まで処分するする行為がね！」

納税者「私の税認識……」

ワイ「そう！　だから、金額なんて、二の次なんだよ！　復命は、高い金額より、巧妙な手口が一番気持ちいいんだよ！」

納税者「す、巧妙って……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、納税に猶予をもらってもいいですか？」

徴収部門「差し押さえ！」

その後、税理士は一日中納税者ちゃんの修正申告書に記入を続けて次の日の朝は起き上がれないほど疲弊していた。でもまぁ、その日以来、税務調査をするとき統括官が「がんばれよ」とつぶやいてくれるようになったので結果オーライ！　終わり