先輩「はい、今日の日勤業務は終わり。これから電子カルテへの入力と残業と救急車が来たら対応の手伝い。あとは今日の振り返りを用紙にまとめて、明日の目標立てたらやっと一日お疲れさまでした」
ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数ヶ月前、念願の看護師に就職したのだが、『女性ばかりの職場で若い男が就職するとどうしても悪目立ちする』
という懸念の声は案の定、現実のものとなり、結果、先輩看護師ちゃんが僕の指導担当をしてくれるようになった。しかし先輩看護師ちゃんはなんだか
僕の成長を願っているみたいで、いつもいつも熱心な指導をして、超過勤務スゴイスゴイなのだった。
僕「トホホ……結局20時過ぎまで病棟にいちゃったよ。看護師の新人指導は紙ベースで書かなくちゃいけなくて、残業や救急対応で深夜まで続くんだから……あーあ、どうにかして先輩看護師ちゃんの指導をやさしくて簡単なものにしてもらえないかな~、ん?」
こんな時間なのに会議室から明かりが漏れている。
先輩看護師「あーでもない……こーでもない……」
ワイ(せ、先輩看護師ちゃんたちが、病棟の現状も考えず、新たな指導プランを練っている!?)
先輩看護師「新しい振り返り用紙を追加しましょう、研修は月三回で休日でも必修。
インシデントレポートのノルマ達成率が低いですね(意味不明)、何故出来ないのかわかるまで指導しましょう、
まぁこのくらい当然だよね。ふぅ……またまだ足りないですかね……。
もっと新人さん達には良い看護師になってもらえるように頑張らないと……」
僕「先輩看護師ちゃーん!」 バターンッ!
先輩「ひゃあッ!?」
僕「せ、先輩看護師ちゃーん! ごめんよーッ! 先輩看護師ちゃんは毎月僕らのためにこんな時間までしこしこ指導者会議で指導プランを考えていたのに僕はそんなことも知らずに……ッ!
キュッ!キュッ! !」
先輩「ど、ドサクサにまぎれてホワイトボードに書いた会議の内容消さないでください!」
僕「ご、ごめんね先輩看護師ちゃん……!」
先輩「べ、別に、しこしこ指導者会議するくらい普通です……。それが私達のお仕事なんですから……。それにこれから夜勤も本格的に始まるし。
二年目になれば委員会や日勤リーダー見習い、青年部や執行部といった活動やありとあらゆる外部研修、
看護研究など一人一人の役職が増えていくんですよ。新人の期間なんて軽いもんです」
僕「」
その後、僕は先輩看護師ちゃんの指導によって常に「もう、やめたい……」と本気で悩むほどに疲弊していた。
でもまぁ、他の病院はどうかわかんないし、看護師ならどこも人手不足だから再就職はオーライ! 終わり
僕「じ、静脈ちゃん! 動かないでじっとして!」 静脈「うるさいですね……」クイックイッ
患者「あ、あぁ~ッ!いたぁーいッ!!!もう、うまい奴に代われ!!!」
僕「ご、ごめんなさい」
先輩「はい、採血終わり。お疲れさまでした」 スッスツ
僕「うぅ……あ、ありがとうございます……」
数週間前、採血の実地指導が開始したのだが、『既に先人達によって穴だらけにされた欠陥品の血管モデルで練習しても意味ないのでは』
という懸念の声もあり、結果、静脈ちゃんは採血のたびに僕の針先の狙いからクイクイズレてくれるようになった。しかも静脈ちゃんはなんだか
僕のことがキライみたいで、先輩に代わると何事もないかのようにすぐとれて、僕がやると患者さんイタイイタイなのだった。
看護師僕「け、径鼻チューブちゃん! 気管に入らないでね!」 径鼻チューブ「下手くそですね……」グニャグニャ
患者「げほんげほん!」
僕「あ、あぁ~ッ!」 グルグルグルグルーッ! (チューブがとぐろを巻く音)
聴診器「はい、胃泡音聞こえないぞ」
シリンジ「……(かたくなに胃液を引いてくれない)」
X線「うーん、これは気管!w」
先輩「はい、お疲れさまでした。もうう一度挿入ね」
僕「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数週間前から径鼻チューブを入れた患者が入院しているのだが『胃ろうは絶対だめです』
という家族の声があり、結果、定期的に径鼻チューブを入れ換えて管理するようになった。しかし径鼻チューブちゃんはなんだか
胃袋のことがキライみたいで、いつもいつも気管にダイブして、ゴエンゴエンなのだった。
僕「ぼ、膀胱留置カテーテルちゃん! おち〇ち〇にうまく入ってね!」 カテーテル「なんだか固いですね……」グイグイ
前立腺「……(ここは通さないぞという固い意思)」 ムクムクムクムクッ! (前立腺が肥大する音)
僕「全然入ってかない!!!」
先輩「てや」ブッスー!!!
僕「」
数週間前から膀胱留置カテーテルを留置する患者さんが入院しているのだが、『既往症 前立腺肥大』
という懸念の声があり、結果、患者のオ〇ン〇ンにカテーテル交換する際には大変気を使うようになった。しかし前立腺ちゃんはなんだか
カテーテルのことがキライみたいで、いつもいつも不愛想にオ〇ン〇ンの奥でブロックして、患者さんのち〇ち〇グイグイイタイイタイなのだった。
僕「げ、下痢便ちゃん! おむつから漏れないで!」 下痢便「うるさいですね……」ビチビチビチビチ
僕「あ、あぁ~ッ!」 ビチャビチャビチャッ!
病衣「はい、汚れたぞ」
シーツ「俺も汚れたぞ」
手首「俺にもついたぞ」
先輩「はい、全更衣シーツ交換。お疲れさまでした」
僕「うぅ……あ、ありがとうございました……」
ここ数日、患者の排便コントロールがうまくいかず『下痢便必至』
という懸念の声があり、結果、下痢便ちゃんが定期的に僕がオムツ交換に入るタイミングでこんにちわしているようになった。しかし下痢便ちゃんはなんだか
オムツの中がキライみたいで、いつもいつも病衣やシーツと仲良しこよし、全更衣クサイクサイなのだった。
看護師僕「や、夜勤ちゃん! 無事に終わってね!」 夜勤「なんだか今日は荒れそうですね……」ザワザワ……
患者A「熱発するぞ」
患者B「急変するぞ」
患者C「転倒するぞ」
患者D「うんこ漏らすぞ」
僕「あ、あぁ~ッ!」イソイソバタバダ
救急車「急患受け入れだぞ」
僕「」
先輩「はい、今日の夜勤は終わり(finishではない)。ここから地獄の始まりお疲れさまでした」
僕「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数時間前、夜勤が始まったのだが、『今日の夜勤は落ち着いてそうですね』
などと不用意な発言をした結果、夜勤ちゃんがその本性をあらわにしはじめた。しかし夜勤ちゃんはなんだか
僕のことが好きみたいで、いつもいつも僕にイベントを持ってきてくれて、またまだ夜勤ナガイナガイなのだった。
看護師僕「り、留置針ちゃん! 血管の中でおとなしくしててね!」 静脈「なんだか痛いですね……」グイグイ
留置針A「薬液漏れたぞ」
留置針B「自己抜去されたぞ」
留置針C「3日たったぞ」
僕「あ、あぁ~ッ!」 クザグサグサグサーッ!
先輩「はい、今日の差し替えは終わり。お疲れさまでした」
僕「うぅ……あ、ありがとうございました……」
ここ数週間で点滴をする患者が増えたのだが、『新人インサイト強化月間』
と重なり、結果、定期的にトラブルが起きては僕が刺し直しするようになった。しかも留置針ちゃんはなんだか
血管の中がキライみたいで、いつもなにかと理由を付けて抜けてしまい、その度にインサイトプスリプスリなのだった。
コメント
精神科が楽ってはっきりわかんだね
新人看護師ワイ、笑えない
心イタイイタイなのであった