ワイ「あ、あぁ~ッ!」メラメラメラ~!(東京の燃える音)
阿南「はい、今日の最高戦争指導会議は終わり。お疲れさまでした」
ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数週間前、絶対やりたくなかった首相に就任したのだが、『海軍出身の総理では海主陸従を推し進めるのでは』という懸念の声があり、結果、阿南惟幾ちゃんが定期的にワイの閣内から陸軍の意向を主張してくれるようになった。
しかし阿南ちゃんはなんだか米内のことがキライみたいで、いつもいつも声高に徹底抗戦を叫んで、戦局ワルイワルイなのだった。
ワイ「トホホ……阿南ちゃん人柄は良いのに陸軍の主張はイタイイタイなんだから……あーあ、どうにかして帝国の将来をやさしくて気持ちいものにしてもらえないかな~、ん?」
深夜なのに陸相官舎から明かりが漏れている。
阿南「よいしょ……よいしょ……」
ワイ(あ、阿南ちゃんが、自分の部屋で幕僚を相手に終戦工作の打ち合わせをしている!?)
阿南「ふぅ……こんなものですかね……。もっと早期に講和してもらえるように頑張らないと……」
ワイ「阿南ちゃーん!」 バターンッ!
阿南「ひゃあッ!?」
ワイ「あ、阿南ちゃーん! ごめんよーッ! 阿南ちゃんは毎日国体護持のために講和の練習してたのにワイはそんなことも知らずに……ッ!
ゴホッ!ゴホッ! 77歳で内閣首班の激務はつらい!」
阿南「ど、ドサクサにまぎれて米内を留任させないでください!」
ワイ「ご、ごめんね阿南ちゃん……!」
阿南「べ、別に、終戦工作するくらい普通です……。それが私のお仕事なんですから……。それに、私は口下手で、あんまり賛同してもらえないから」
ワイ「そ、そんなことないよ! 阿南ちゃんのその気持ちだけでワイは十分やりやすいんだよ! あっ、そ、そうだ! 阿南ちゃん署名して!」
阿南「こ、こうですか?」
ワイ「そう! それじゃあ今から終戦準備するからね! ソ連経由で連合国に講和を申し込むからね! ちゃんと協力してね!」
阿南「えっ、えっ?」
B-29「ウオーッ! 広島! 新型爆弾出すぞ!」
広島市民「ひゃあッ!」ピカーッ
ワイ「くっ、ふぅ……!(嗚咽) しゅ、終戦の詔勅が出たぁーッ!」
阿南「ほんとうです……で、でもなんで……?」
ワイ「それはね……アメリカの新型爆弾投下に続いて、ソ連が参戦したからだよ! 不可侵条約を踏みにじるコミュニスト共がね!」
阿南「ソ連が……」
ワイ「そう! だから、陸海軍の意向なんて、二の次なんだよ! 重大な決定は、みんなで考えるより、偉い人にやってもらうのが一番通りやすいんだよ!」
阿南「え、偉いって……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、国体護持のために協力してもらっていいですか?」
ワイ「もちろん!」
その後、ワイ達は一晩中終戦工作を続けて阿南ちゃんは15日の朝起き上がれないほど疲弊していた。
でもまぁ、その日以来、国体護持はアメリカ軍がしっかり保証してくれたので結果オーライ! 終わり
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