アイルランド「あ、あぁ~ッ!」ガシガシ餓死~ッ!
イギリス「はい、食料の輸出は終わり。お疲れさまでした」
アイルランド「うぅ……あ、ありがとうございました……」
1845年、ヨーロッパ全域でジャガイモの疫病が大流行したのだが、イギリスは「国が介入するより市場経済に任せたほうが良いのでは?」という自由放任主義の立場を取ったため、結果、アイルランド島からイギリス本国への食料輸出は止められることなく放置された。
当時のアイルランド人たちは小麦などの穀物をイギリス本国へ輸出し、ジャガイモを主食として食べていたため、疫病の流行によって100万人以上が餓死餓死して、200万人以上が島外に移住移住することになったのだった。
アイルランド人「トホホ……アイルランドの土地はイギリス本国の地主が権利を握ってるせいで、大飢饉の最中でも穀物の輸出を止めてもらえないんだから……あーあ、穀物価格が高すぎて飢え死にしてしまいそうだな~、ん?」
飢饉の真っ最中にイギリスの議会から明かりが漏れている。
イギリス「よいしょ……よいしょ……」
アイルランド人「い、イギリス政府が穀物の輸入に高い関税をかける穀物法を廃止しようとしている!?」
イギリス「ふぅ……こんなものですかね……。これで飢饉対策は十分でしょう……」
アイルランド人「イギリスちゃーん!」
イギリス「ひゃあッ!?」
アイルランド人「い、イギリスちゃーん! 穀物法を廃止しても穀物価格は全然下がってないよ! もうお金は使い果たしちゃったし来年の種芋まで食べてしまってるのに……ッ!
どうか!どうか! 食べ物を恵んでください!」
イギリス「し、仕方がないですね……じゃあ公共事業で雇用を創出するので対価にもらったお金で食べ物を買ってください」
アイルランド人「これっぽっちのお金じゃ全然足りないよぉ……!」チーン
イギリス「じ、じゃあ、拡大救貧法で土地を持ってない人を助けてあげましょう……。そのための財源はアイルランドの地主に負担してもらうということで……。まあアイルランドの土地を持つ地主は大部分がイギリス人なんですが……」
イギリス人の地主「ち、ちょっと勘弁してくれよ! そういうことなら小作人を抱えてるほうが損じゃないか! あっ、そ、そうだ! 地代を払えなくなったアイルランド人は追い出してしまおう!」
アイルランド人「ま、待ってくれ! 土地を追い出されたら野垂れ死にしてしまう!」
イギリス人の地主「よし! それじゃあ地代を払えなくなった小作人には立ち退いてもらうからね! 家は取り壊して燃やしてしまうからね! ちゃんと立ち退いてね!」
アイルランド人「えっ、えっ?」
イギリス人の地主「ウオーッ! 小作人! 実力行使で立ち退いてもらうぞ!」立ち退き立ち退きーッ!
アイルランド人「ひゃあッ!」ガシガシ餓死ーッ
アイルランド「くっ、ふぅ……! す、すっごい餓死者が出たぁーッ!」
イギリス「ほんとうです……で、でもなんで……?」
アイルランド「それはね……イギリス政府の支援が足りなかったからだよ! だからアイルランドの農地は荒れ果てて人口も激減しちゃったんだ!」
イギリス「アイルランドの人口が……」
アイルランド「そう! 1841年には約817万人いた人口が、1851年には約655万人まで減少しちゃったんだ! 2021年現在のアイルランドの人口が約502万人だから、今でもアイルランド飢饉以前の人口には戻ってないんだよ!」
イギリス「じ、ジャガイモ飢饉って……はわわ……あ、あの……これもしかして、私のせいなんですか?」
アイルランド「もちろん!」
現在、世界中に散らばっているアイルランド系の人々は合計8000万人ほどいると推定されている。
でもまぁ、ジャガイモ飢饉以来、アイルランド系アメリカ人から大統領のジョン・F・ケネディを排出したり、アイルランド本国は1990年代後半から急速に経済発展したりしてるので結果オーライ! 終わり