メリー「そう。私メリーさん。今あなたの家の前にいるの」
彡(゜)(゜)「え、でもワイ今出かけてるで」
メリー「は?」
メリー「なんでよ」
彡(゜)(゜)「なんでって言われても…」
メリー「仕事?」
彡(゜)(゜)「いや今日は休みやけど」
メリー「暑いんだから家でゆっくりしてればいいのに」
彡(゜)(゜)「先週もそんな感じで過ごしたから今週はおでかけなんや」
メリー「はあ…サイテー」
彡(゜)(゜)「なんで休日にお出かけしただけでそんなんいわれなあかんのや…」
メリー「わかったわよ、じゃあ今からそっち行くから」
彡(゜)(゜)「ええ……」
メリー「今どこなの?」
彡(゜)(゜)「登戸やけど」
メリー「近いじゃん。すぐ行く」
彡(゜)(゜)「あ、でも」ガチャッツーツー
彡(゜)(゜)「切れてもうた…」
メリー「もしもし、私メリーさん。今登戸駅にいるの」
彡(゜)(゜)「お、着いたんか早かったな」
メリー「うん、今どこ?」
彡(゜)(゜)「府中本町」
メリー「は?」
メリー「なに移動してんの?」
彡(゜)(゜)「いや、お出かけやし…」
メリー「普通メリーさんから電話来たらそのまま休日続行しようとしないでしょ」
彡(゜)(゜)「そんなもんなんか。初めてやからわからんかったわ」
メリー「とにかく待っててもらえる?今から行くから」
彡(゜)(゜)「いや無理やって」
メリー「無理じゃあないでしょ、待ってて。府中本町ってことは南武線でいいのよね?」
彡(゜)(゜)「まあそうやけど」
メリー「じゃあ行くから」
彡(゜)(゜)「いやせやから無理やtt」ガチャッツーツー
彡(゜)(゜)「切れてもうたわ…電車の時間やからまてんのに」
彡(-)(-)「どうしよう………」
彡(^)(^)「まあええか、電車乗るわ」
メリー「私メリーさん。今府中本町にいるの」
彡(゜)(゜)「おう」
メリー「まさかと思うんだけど」
彡(゜)(゜)「今立川出るところや」
メリー「なめてんの?」
メリー「しかも出るところってどういうことよ」
彡(゜)(゜)「中央線に乗っとるで」
メリー「なんなのあんた。どこまでマイペースなのよ」
彡(゜)(゜)「急に電話かけてきて待ってろとかいう人に言われたくないわ」
メリー「まあそれはそうだけど…」
メリー「わかった、私の聞き方も悪かったわ」
彡(゜)(゜)「ん?」
メリー「最終的な目的地はどこなの?最初からそれきけば良かったんだわ」
彡(゜)(゜)「目的地か」
メリー「そう、そこで合流しましょ」
彡(゜)(゜)「目的地は武蔵溝ノ口やで」
メリー「武蔵溝ノ口ね………ん?」
彡(゜)(゜)「なんや」
メリー「あんた馬鹿なの?武蔵溝ノ口に行くのになんで登戸から立川に行ってんのよ、逆でしょ?」
彡(゜)(゜)「いや大回り乗車しとるんや」
メリー「は??なんでそんな乞食みたいなことしてんのよ」
彡(゜)(゜)「おっ。大回り乗車って聞いただけで意味わかるんか」
メリー「知ってるわよそれくらい。「大回り乗車」とは、鉄道ファンの間における用語であり
広義には旅規第157条第2項でいう「選択乗車」のことである。
大都市近郊区間における「選択乗車」とは、運賃計算に用いた経路以外の「他の経路」を、区間変更の手続なく乗車することである。
「運賃計算に用いた経路」と「他の経路」とを比較し
「他の経路」の方が距離が長い(または運賃g」
彡(゜)(゜)「引くわ」
メリー「なんでよ。大回りしてるってことはあんたも鉄ヲタなんでしょ?乗り鉄なの?」
彡(゜)(゜)「まあそんな感じやな」
メリー「とにかくそこで待ってて」
彡(゜)(゜)「いや無理や。あ、もう電車出るから乗らな。電話切るで」
メリー「ちょ…待ちなさいってば!」ガチャッツーツー
メリー「まじで舐めてんなコイツ」
メリー「でも大回り乗車ってことは私が私鉄や他の交通機関を使えば追いつけるわね」
メリー「ルートだけでも聞いておけばよかったかしら……いいわ、考えるのよ…」
メリー「大回り乗車はなるべく大きく回りたいもの。ルールとその前提を考慮すればおのずとルートは見えてくるはずだわ」
メリー「立川から中央線に乗るって言ってたわね…」
メリー「大回り的に考えて新宿方面はないだろうから、そうなると八王子から八高線で高麗川に向かうはずね」
メリー「そこから川越・大宮方面に行くか…高崎方面に行くか…」
メリー「時間はまだ午前中。これはロングルートと見たわ」
メリー「問題は高崎の一つ手前、倉賀野で湘南新宿ラインに乗り換えて大宮方面に行くか…
メリー「新前橋まで行って両毛線ルートに乗るか…」
メリー「…この時間なら両毛線で大回りしても武蔵溝ノ口で一杯飲んで帰られる時間にはゴールできるわね」
メリー「間違いない!両毛線ルートだわ!!!!」
メリー「よし、すぐに同じルートで追いかけるわよ!!」
メリー「……いや、追いかけても無理ね…」
メリー「…そうだわ!」
…プルルル…プルルル…
彡(゜)(゜)「ほいな」
メリー「私メリーさん。今高崎で乗換待ちしてるの」
彡(゜)(゜)「おっ。方向的には正解やん。関心関心」
メリー「ふふ。あなたは今頃両毛線かしら?」
彡(゜)(゜)「せやで」
メリー「思ったとおりね。あなたの死に場所は小山駅よ!」
彡(゜)(゜)「まじか」
メリー「高崎から新幹線で一足早く小山に行くわ。そこであなたを殺してあげる」
彡(゜)(゜)「新幹線代って自腹なんか?」
メリー「当たり前でしょ。ホント最悪だわよ」
小山駅
メリー「さて、一足早く小山駅に着いたわ。流石に新幹線は速いわね」
メリー「あいつはもう少しかかる…おなかも空いたし、駅そばでも食べるかしら」
メリー「この小山駅の宇都宮線ホームにある駅そば「きそば」さんは、昔ながらの立ち食いスタンドなのよ」
メリー「今の駅そばって女性も利用しやすいように小綺麗で座って食べられるようなお店が増えてきたりしてるけど私は昔ながらの立ち食いにロマンを感じるわ」
メリー「……そんな……きそばさんが……閉店してたなんて…」
メリー「また古き良き文化がひとつ潰えてしまったのね…悲しいわ」
メリー「ま、ベックスコーヒーでスマホを充電しながらランチとコーヒーね。便利だわ、小山駅」
彡(゜)(゜)「…小山についたけどメリーさんどこにおるんやろ」
彡(゜)(゜)「探した方がええんやろか」
彡(゜)(゜)「でも水戸線の時間迫っとるんやけど……」
彡(-)(-)「うーん……」
彡(^)(^)「まあええか!いこいこ!」
プルルル……
彡(゜)(゜)「ほいな」
メリー「グスン……なんでよぉ…」
彡(゜)(゜)「何泣いてんのや」
メリー「今あんたどこなのよ…」
彡(゜)(゜)「水戸線のっとるで」
メリー「ひどいじゃない…ついたなら連絡くらいしなさいよ…」
彡(゜)(゜)「いや非通知でかけてきてるからこっちから電話できんやんけ」
メリー「そうだけどぉ……グスン」
彡(゜)(゜)「お前ほどの腕やったらワイが水戸線に乗るってわかったやろ?水戸線のホームで待っとったらええやん」
メリー「だってスマホの充電もやばかったしお腹もすいてたんだもん…ニューデイズで新生姜チップスも買いたかったし…」
彡(゜)(゜)「満喫しとるなあ…」
彡(゜)(゜)「新生姜チップスって美味いんか」
メリー「岩下の新生姜♪でおなじみ、岩下のポテトチップス肉巻き新生姜味、おすすめよ」
彡(゜)(゜)「へえ」
メリー「あんたお昼ご飯は?」
彡(゜)(゜)「え?…あ、おにぎり買うの忘れてたわ」
メリー「ぷぷ。ざまあw」
メリー「さて、と。まあ雑談はこの辺で…」
彡(゜)(゜)「なんか流石に可哀想になってきたしルート教えとこか?」
メリー「必要ないわ。私だって乗り鉄の端くれよ。あなたのルートくらい看破して見せるわ」
彡(゜)(゜)「ほーん。まあ頑張ってくれや」
メリー「ありがとう、頑張るわ」
彡(゜)(゜)「しかしワイも新生姜チップス買えば良かったかなぁ。ちょっとストイックすぎたわ」
メリー「馬鹿ねw栃木名物も食べられず私にも会えないなんてw」
彡(゜)(゜)「いや会ったらワイのこと殺すんやろ?むしろラッキーやんけ」
メリー「…さて、これからのあいつのルートは…」
メリー「友部で常磐線に乗り換えるのは間違いないとして問題はその先」
メリー「そのまま都心方面に行くか我孫子駅で乗換えて成田方面に行くか」
メリー「まあこれも成田方面で間違いないわね。まだ都心方面に帰る時間じゃないわ」
メリー「おそらく、我孫子→成田→佐倉→成東→大網→蘇我ってルートのはずね」
メリー「流石に房総半島を回るのは時間的に厳しいはずだから考えなくていいわね」
メリー「そうなると、あいつが佐倉→成東→大網→蘇我と回っている間に私は蘇我に先回りすればいいわけね」
メリー「これであいつに追いつけるわ…待ってなさい!!」
メリー「…あいつ、おにぎり忘れたって言ってたわね…」
メリー「売店で買ってってあげるか」
蘇我駅
メリー「遅いわね…ちょっと電話してみるかしら」
プルルル…
彡(゜)(゜)「ほいな」
メリー「いくらなんでも遅くない?」
彡(゜)(゜)「え、今どこなん?」
メリー「蘇我駅で待ってるんだけど。あんた成田佐倉成東コースでしょ?」
彡(゜)(゜)「そうやで、ようわかったな」
メリーさん「それにしてもちょっと遅くない?」
彡(゜)(゜)「いや、腹減って我慢できんかったから我孫子で乗換遅らせてそば食ってたんや」
メリーさん「は??」
メリー「あんたマジで舐めてるわね」
彡(゜)(゜)「いやだって腹減ってしもうたんやもん」
メリー「しかも我孫子のそばってあの有名な弥生軒でしょ!?」
彡(゜)(゜)「せや、でっかい唐揚げの乗った唐揚げそば、うまかったわ!」
メリー「ふざけんじゃないわよ!!」
メリー「まさか2個乗せ食べたんじゃないでしょうね!?」
彡(゜)(゜)「そのまさかや。お腹ペコちゃんやったからな」
メリー「私がストイックに先回りしてるというのにあんたは!」
彡(゜)(゜)「我孫子の弥生軒って昔裸の大将の山下清が働いてたらしいで、知っとったか?」
メリー「え、まじ?」
ガチャッツーツー
メリー「なによ…人の気も知らないで…」
メリー「おにぎりなんか買っちゃって…バカみたい、私…ぐすん」
メリー「…はー。もうあいつ追いかけるのも待つのも疲れちゃった」
メリー「律儀に大回りなんてしなくていいんだし、房総半島の方にでも行って海でも見るかな」
メリー「海におにぎり投げすててやる!ふふっ。………はあ。」
ガタンゴトン・・・
彡(゜)(゜)「……」
彡(゜)(゜)「………涙声…やったなあ……」
彡(゜)(゜)「怪異とはいえワイに会いたくて右往左往してくれてる人にデリカシーなさ過ぎたか」
彡(-)(-)「ワイはいっつもそうや。間違いを起こしてる時には気付けんで、あとでもう手遅れになってから後悔する…」
彡(-)(-)「………手遅れ…なんやろか」
彡(゜)(゜)「…このまま大回りを続けたら間違いなく手遅れや。でも今ならまだまにあうんやないか」
彡(゜)(゜)「………」
海
メリー「……綺麗ね」
メリー「でも、なんだかその美しさすら私を嘲笑ってるように見えちゃうわ」
メリー「……はあ。」
メリー「……これからどうしようかな」
彡(゜)(゜)「…ワイ、やきう。今メリーさんの後ろにおるで」
メリー「!?」
彡(゜)(゜)「……やっと会えたな」
メリー「どうしてここに…」
彡(゜)(゜)「大回りはやめたわ。途中で一旦清算してここまで来たんや」
メリー「そんな…高かったでしょ…」
彡(゜)(゜)「まあそりゃ大回り用の切符と比べたらな。でもそんなんええんや」
メリー「……」
彡(゜)(゜)「もっと大事なものを、失いたくなかったんや」
メリー「……ばか……あたしに会ったら…殺されちゃうんだよ?」
彡(゜)(゜)「大回り乗車よりも、命よりも大切なものがあると気づいたんや。メリーさんが気づかせてくれたんやで」
メリー「やきう………」
彡(^)(^)「さ、一思いにやってくれや!ワイみたいな高齢童貞デブハゲ底辺、死んでも誰も悲しまんし!」
彡(^)(^)「あ、痛いのはいややで!」
メリー「………ずるいよ………できるわけないじゃない」
彡(゜)(゜)「…?」
メリー「怪異の私にそんなに言ってくれる人を…殺せるわけないじゃない…!」
彡(゜)(゜)「…ワイはええんやで?」
メリー「私が嫌なの!…まったく。全然女心がわかってないんだから…」
彡(゜)(゜)「……」
彡(^)(^)「…これから教えてくれ」
メリー「……うん」
夏と冬は青春18きっぷで旅しよや!
どこか地方の乗り放題切符探してみてもいいんじゃない?
寝台車にのってみたいんよな、サンライズ出雲
廃線を巡ってみるのもオツなものよ
おしまい